Tournament article

〜全英への道〜ミズノオープン 2013

富村信治は「沖縄から世界へ!」【インタビュー動画】

この日初日はスタートの10番で、チップイン。グリーン左のカラーから、サンドウェッジで入れた。さらに11番では2メートルのチャンスを沈めて連続バーディ。「幸先よく乗っていけた」と、67の5アンダーで上がってきたら、さっそく恩師に冷やかされた。

東北福祉大の・阿部靖彦ゴルフ部監督。「おまえ〜、学生時代にもこんなにいい成績出したことないのにな!!」。もちろん、冗談だ。大学時代は、ナショナルチームの常連だった。

2010年の朝日杯争奪日本学生ゴルフ選手権や、2012年の東北アマ優勝。昨年の日本アマではメダリストに輝いた。

松山英樹は「学生時代に一緒に頑張ってきた。一つ下の、可愛い後輩」。しかし、時々「くそぉ〜!!」と思う。デビューは揃って今年でも、昨年のファイナルQTに失敗した富村は、まだツアーの出場権さえなく、アマ時代のツアー優勝で、すでにシード選手の松山は、今や破竹の勢いで、いっそう差はつくばかり。

悔しいが、指をくわえて見ているわけにはいかない。
「彼がやればやるほど、僕も頑張らなければ」と、何よりの励みに。「あいつにも出来るんだから。自分も出来るようにならないといけない」と、後輩の背中を懸命に追いかける。

このミズノオープンは、アマチュア時代から数えて3度目の出場だ。「プロになる前は、アマとの差なんかないと思ってやっていた」。しかし、今季は主戦場のチャレンジトーナメントで、同じミズノ勢の佐藤信人や、先輩プロと同じ時間を過ごせば過ごすほど、「以前は、プロのひとつひとつのレベルの高さがよく見えていなかった」と分かる。
たとえば、小技の巧みさ。
「自分は人より飛ばないことを、自覚している」。それならば、ショートゲームで勝負と行きたいところを、「そこで、パラパラしてたらおハナシにもならない」と、自戒の毎日。所属コースのザ・カントリークラブ・ジャパン(千葉県)は恵まれた練習環境で、レッスン業やマスター業務の合間に、辺りが見えなくなるギリギリまで猛練習の日々。

マンデートーナメントを勝ち上がったつるやオープンから数えてデビュー2戦目の今週は、主催者推薦を受けての参戦も「良い経験をさせてもらっている」と、感謝しきりの好発進だ。

18歳で、いったん故郷を飛び出したが、その精神はいまも心に息づいている。ヘッドカバーのシーサーが、その証しだ。6つ上のいとこにライバル心を燃やして8歳から始めたゴルフ。地元・沖縄の興南高校にはひとつ上に、米女子ツアーで活躍中の宮里美香さんや、さらにもっとOBには具志堅用高さんら、スタープレーヤーの存在が、励みに。

具志堅さんが、ボクシングの世界王者についたころから故郷に生まれたというフレーズ。「沖縄から世界へ!」。富村の心にも、強く刻まれている。「僕もいつか、美香さんのようにアメリカへ」。今週は、まずはここ瀬戸内海から、メジャーの舞台を目指してみたい。

関連記事