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ダンロップフェニックストーナメント 2013

松山英樹は「早く決めたい」

寒さ対策の襟巻きで隠しても、隠しきれないほど確かに右頬が腫れている
21歳のルーキーだが、今や大会を代表するホストプロNO.1である。現在、賞金ランキングのトップを走る松山は、9月に今季3勝目を飾り、メジャー舞台でも再三のトップ10入りに、現在は2位の金亨成(キムヒョンソン)に約5600万円差をつけて、今だに独走状態。

今週、このホスト大会で勝ってなおかつ2位に8000万円以上の差をつければ、早々に賞金王が決定する。新人選手による史上初のキングの座。「目標だったので。早く決めたい」。しかし、そこは浮かない顔で「でも勝つのは簡単ではないし、そう簡単に勝てる試合でもない」。強気になれない理由がある。

やはり9月に、ブヨに嚼まれてひどく晴らした右頬。“再発”した。ほぼ同じ箇所に細菌が入り、前日火曜日に診てもらった病院で「癰(せつ)」と診断されたという。やさしく言えば「おでき」である。
今回の症状は、首の付け根部分にまで広がったようで、この日のプロアマトーナメントも、ほとんど貢献出来なかった。
痛みで、フルショットが出来なかったのである。「昨日は普通に打てたのに、今日は打てなくて自分でもびっくり」と、スクランブルのゲーム方式もあって多くのホールでティショットを回避。そこは、アマチュアの方に頼って、2打目やアプローチだけに参加するしか仕方のないような状況だった。

「振ったらアゴが痛いんです」と、外国人選手の中にあっても引けを取らない屈強な男も、今回ばかりはさすがに嘆き節。
「これが明日じゃなくて良かった」とこの日が本番ではなかったことを、せめてもの救いに初日の朝までには痛みが回復していることを願う。

昨年は、ルークに5打差をつけられ、2位に甘んじた。ルークは、前年に米欧でツアー史上初のW賞金王に輝いたばかりで、波に乗っていた。昨年は結局、最終日まで一度も同じ組で回ることが出来ずに、敵の強さを目の当たりすることなく終わってしまったが、今年は初日からの直接対決で、改めてじっくり観察することも出来る。
「今年は、あまり良い成績も出していないようだし、今年も去年のように、強いかどうかはわからない」と、昨年覇者にも冷静な目を向けつつ、松山自身はこの時期としては、異例といってもいい全クラブのシャフトの総入れ替えなど、意気込みの強さは並みではない。
「今年は4日間とも一緒の組で回れるように。ルーク選手と同じ組で優勝争いが出来るように頑張りたい」。頬の痛みをこらえて、雪辱を誓った。

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