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サン・クロレラ クラシック 2012

松山英樹さんは史上初のアマV2を逃す

結局、首位との2打差が如実に語る。「ショットの不安が取り除けなかった分。それが結果的に、差に出るのかな」と松山さんは言った。前日3日目の上がりの3ホールで、すっかり払拭出来ていたはずだった。
「今朝の練習場でも好調だった」。
しかし、コースに出るなり、「なんでこんなに悪いのか」。

前日は東北福祉大の阿部靖彦・監督も、苦笑混じりに予言していた。「今日何かをつかんだとしても、明日になれば忘れてしまう。それが松山というヤツなんだな」。悪いほうが、的中してしまった。
「昨日の最後が良かったので、その流れでいけるかなと思ったのですが。昨日の最後と今日の最初とは、同じ感覚で振っているつもりでも、やっぱりちょっと違ってた」。

3番でボギー、5番ではダブルボギー。ショットが左右に散らばった。課題のパットにも精彩を欠いた。
「最初の5ホールで、3オーバーも打ってしまった」。
アマチュアながら、次のツアー2勝目をにらんでいつものようにスコアボードを逐一確認しながら歩いたとしても、「見てどうにかなるスコアじゃなくなった」。

一度は、大きく圏外に弾き出されてなお、「一個ずつ戻していくしかない。一歩ずつ戻していけばチャンスはある」と、思える図太さ。「12番から全部バーディなら、もしかしたらと頑張りました」。
石川遼のライバルは、やっぱりこちらも並の20歳ではなかった。

突如として火がついた。
「13番からひらめきがあった」と、次々とピンに絡めて最難関の16番で、圧巻の4連続バーディを奪った。
最終18番は、またしてもピンそばのバーディで、力強いガッツポーズを振り下ろした。
「最後の5ホールは、ショットもパットもミスがなかった」と、完璧な締めくくり。
4日間で最多の23個のバーディで、大会特別協賛の株式会社サン・クロレラ提供の「最多バーディ賞」の記念品も獲得した。

それでも届かなかった。アマチュアとして、史上初のツアー2勝目には、あと一歩及ばなかった。
3番のボギーと5番のダブルボギーがなければ勝っていた。

来月13日から19日には、3年連続のマスターズ切符がかかる全米アマ。2位以内に入れば、権利が得られる。
「スコアは良かったけれど、今日の内容でいけば、確実に負けるでしょう。今日の後半のスイングの感覚を、忘れないようにしなければ」。

プロの試合で堂々2位タイで2年連続のベストアマにも自信にするどころか、自らに厳しい視線を向けて、肝に銘じた。



  • ジョーンズとの2打差に「序盤でショットの不安が取り除けなかった分の差が出た」と松山さん
  • 左はドライビングディスタンス賞を獲得した額賀辰徳、身長183センチ。右は勝者のジョーンズ、185センチ。180センチの松山さんは、2人に対抗してひそかに背伸び!

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