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マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント 2012

宮本勝昌は「僕が勝てるとすれば…」

3日目は、ボギーなしの69でまとめてスコアを伸ばしてしかも、首位の金庚泰(キムキョンテ)との差を前日からふたつ縮めて1打差まで詰め寄ったというのに、やっぱりこの男の口から前向きな言葉は出て来なかった。

2日連続の会見場での第一声は、「遼ちゃん、残念だったね…」と、やっぱり他の選手の話から始まった。
「遼ちゃんは何があったの? 18番は池?」と、ひとつ前で上がった石川の、18番のダブルボギーの原因をかいつまんで聞いた後に、「でも大丈夫ですよ。だって“ミラクル遼”ですよ。ダボでも4打差でしょう? まだ行けます」と、なぜか石川の応援団。

同組で回ったリーダーについては、「キョンテは上手い。今日は調子が悪かったみたいだけれど、それでも上手い」と、やっぱり他の選手の話題で感嘆しきりだ。

さて、それでは最後に自分の話。
「ああ…、まあ僕はなんとか先頭集団でそのまま来たけど精一杯のゴルフ。いっぱいいっぱい」。
この日3つのバーディも「ハイライトはあそこだけ」と、確かにスタートの1番は見事だった。

120ヤードの第2打は、ピッチングウェッジでピン手前にぴたりとつけた。1メートル弱を難なく決めた。
もっと言えば9番も、8メートルのバーディトライがカップに沈んだ。

それでも17番では右3メートルをわずかに外して、そしていよいよ18番のパー5では、ウェッジで打った3打目が寄らずに「あそこで左に10メートルなんて。そんなシード選手はいないですよ」と平凡なパーに終わって最後はやっぱり自虐的。

「でも、まあいいですよ。4日間のうち、3日間頑張れれば。これで3日間頑張ったから、体力の限界、気力の限界」。
そんな現状だから最終日の目標は、もちろん2年ぶりのツアー通算9勝目なはずはなく、「僕はこのまま2位タイの10人とか、3位タイの5人とかに入れればそれでいい」と、欲はゼロ。

それでも、もしも自分が優勝するようなことがあるとするなら?
そこは珍しく、自らを軸に筋書きを描いて、「自分が伸びることはないからね。みんなが総崩れした場合じゃない? 馬群に埋もれる可能性もある」。
そう言い残して、矢のような速さで練習場に直行した。

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