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〜全英への道〜ミズノオープン 2011

河井博大が初のメジャー切符を獲得

5月の日本プロで、プロ16年目のツアー初優勝で男泣きしてからというもの、日本予選ランキングでトップを走り続けていた河井がみごと逃げ切って、その最上位者として全英オープンの出場権を獲得した。

シード入りとシード落ちを繰り返し、紆余曲折の人生を歩んできた。もちろん、メジャーは初めての挑戦。ただでさえ、不安でたまらないのに、後輩に脅かされて心底ビビっている。

今年の会場は、ロンドン郊外のロイヤルセントジョージズ。2003年大会で経験している谷原秀人に「河井さん、相当難しいですよ」と改めて釘を刺されると、だいたいの想像はつくとはいえ、いっそう恐怖が募る。
「生きて帰って来られるかどうか・・・」とのつぶやきも、あながち冗談だけでもない。
「途中で行き倒れないように。それを第一の目標に、頑張ってこようと思います」。

涙の初優勝を挙げて以来、我ながらその反響の大きさに驚いている。
毎週、ツアーに届く大量のファンレター。

「ゴルフを見てあれほど感動したのは初めてです」。
「勇気をもらいました!」。
「涙が出ました」。
「30代、40代を代表してこれからも頑張って」。

励ましというよりも、河井の活躍に自身の人生を重ねているようなメッセージが数多く寄せられて、自覚した。
「僕は、“苦労人の星”なんだ、と」。
石川遼のようなスター性が自分にはないことは、百も承知だ。だけど、自分と同じように、悩みを抱え、苦しみながらも、家族のために汗を流し、懸命に生きている自分とほぼ同世代の人たち。

「ゴルフを通じてそういう方々に、元気を与える的な役割ならば、自分にも出来るのではないだろうか」。
そう考えるうちに、恐怖だけだった今回の遠征も、「半分は楽しみになってきた」と河井は言う。

苦戦は覚悟の上だ。
それでもリンクスの厳しい自然にくじけそうになっても諦めない。「ぼろぼろになっても最後まで戦い抜く。そういう気持ちだけは、貫きたいと思います」。
苦労人の星が、いざ聖地に挑む。

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