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カシオワールドオープン 2016

河井博大は「自業自得です」

今月45歳になったばかりの河井もまた、苦渋の思いでコースを引き上げてきた。2011年に、涙のツアー初優勝を飾った日本プロの5年シードの期限が切れる最終年に、最終戦で予選落ちを喫した。
現状の賞金ランキングは第二シードにもほど遠い119位に終わり、「4、5試合前から思っていた。自業自得だ、と」。ここ数年で、すっかり様変わりした日本ツアーもまた若くて生きのいいパワーヒッターが主流となり、根っからまじめな性格の“自分否定”が始まった。
「こんな飛距離じゃだめだ、と」。
飛ばすにはどうすればいいかと、自身の持ち味を忘れ、「自分自身を客観的に見られなくなっていた」という。

「どうしたら飛ばせるのか、と。いろいろ考え、それがすべて裏目に出てしまった」と、後悔し始めたころにはすでに遅かった。
「元々、飛ばすタイプではない。地味なゴルフ。いきなり変われるわけがないのに」と、気づいた時にはすでに今週は、自身の今季最終戦。
「自分を見失っていた」と、肩を落とした。

専属キャディの鈴木理恵さんのご家族が病気に倒れ、本来なら看病につとめるべきここ数週間は、「河井さんも大事な時期だから」と、無理を押して復帰してきてくれた。
また今年は知人のすすめで始めた“クラウドファンディング”。ネットを通じ、広く資金提供を呼びかけるプロゴルフ界初の試みは、当初は自身の恥をさらすような、後ろめたさがあったものだが、賛同してくださった不特定多数の方々から同時に、次第に暖かい応援メッセージも受け取るようになり、「嬉しかった」と多くのサポートに感謝の“最終戦”にもなった。

河井も横田らと共に、次週のファイナルQTで出直しをはかる。「簡単に結果が出る世界ではないのでじっくりと。前を向いて、這い上がれるようにしたい」。
ベテランの復活劇にはなおさら、暖かい目で見守ってくれる人がたくさんいるはずだ。

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