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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2011

石川遼は、4打差で破れる

前半4つのバーディでも縮まらない。「一番、縮まっても3打差ですから」。11番でバーディを奪い、さらに金庚泰(キムキョンテ)に詰め寄る絶好の機会は13番パー5。540ヤードのチャンスホールはしかし、5番アイアンを握った230ヤードの第2打を池に入れたのが「大きく響いた」と本人も言うように、「今週は4日間で、ほかにも大きなミスがたくさんあったので。それが表れている感じです」。

15番ではカートで駆けつけた“ミスター”こと長嶋茂雄・大会名誉会長の激励を受けて、バーディを奪い再び3打差に。ミスターから称賛の拍手を浴びて、ますます気を良くしたのもつかの間。17番は、ついに2打差まで詰め寄るチャンスも、ピン左から4メートルのバーディトライがカップをなめるだけに終わって、思わず頭を抱え込む。

結局、最後は最初の4打差のまま。それが、今の金との差のようにも思われてならない。

18番グリーンを見下ろすテントで改めてミスターに健闘をねぎらわれて、思わず言っていた。「まだまだ納得出来ません」。
付けいる隙もなく、ライバルに逃げ切られてつくづくと思う。
「改めてすごい選手だ、と」。
今季の金は、出場6試合で12位より下に落ちたことがなく、ほとんどの大会で優勝争いに絡んでいるという事実を見ても、「彼は日本のタイガー・ウッズ」と、最上級の賛辞を送らずにはいられない。

金とは3度目となる最終日の直接対決で、優勝を譲ったのはこれで2度目となるが、その点に関しては悔しくはない。
「“今回は、勝てた試合”と思わせなかった彼の強さがあった」と、接戦にすら持ち込めなかった自分への悔しさがあるだけだ。

それでも、収穫はあった。
この週は、水曜日にジャンボ尾崎から「スイングの解体作業」を命じられ、一から立て直し始めたばかりだった。まだ馴染まない新スイングに戸惑いながらも、優勝争いに加われたのは「正直、出来過ぎ」と、言わざるをえない。

「フェース面の使い方を、180度方向転換しても、その中でうまくスコアをまとめられた」と納得出来る部分もある。ジャンボに言われた課題も、この日最終日が「4日間の中で、一番良かった。昨日までより形にこだわらず、上半身と下半身を連動させるイメージを意識して、足を積極的に使えた」と、実感出来たことは嬉しい。

今の自分の状態を考えるならば、なおさら「キョンテに負けたことは、自分にとって意味がある」と思える。今回の黒星も、明日の自分の糧になる。
「今後、この負けを燃えるものに変えていけばいい」。
悔しさこそ上達の早道であることを、19歳は身を持って知っている。
「来週も続くので、ひたすら練習していくだけ」と、前を向いた。

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