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サン・クロレラ クラシック 2010

石川遼は14位タイに

最後、15メートルのバーディトライは惜しくも外れたが…
最終18番は、手前から15メートルのバーディトライがわずかに外れて苦笑い。「決めたかった」。石川にとって、もっとも観客が集まるホールでのイーグルやバーディ奪取にこそ、意味がある。

それこそが毎週のように、18ホールをついて歩いてくださるギャラリーのみなさんへの恩返し。「決めて、感謝を示したかった」と、悔しがった。
まして、この週は先週に引き続き、初日から2日連続のサスペンデッドとなり、石川にとっても「経験したことがない。人生で一番ハードな1週間だった」と、普段は絶対に弱音を吐かない選手が思わずこぼしたほどの、過酷な4日間。

前日3日目は1日36ホールの長丁場となったが地元の大ギャラリーは、早朝から約12時間ものラウンドにも根気良く付き合ってくださった。
それを思うたび、「最後こそ、良い上がり方をして、ありがとうございましたと言って、いったん北海道を後にしたかった」という。

熱い気持ちで打ったパットは「本当にもう、入ったと思ったんですけど。あと一歩、5ミリくらい足りなかった」と、残念がった。
連覇を狙った今大会は、「ディフェンディングチャンピオンとしては、少し期待外れだったかな」と、反省もチラリ。

確かに、通算6アンダーは8位タイからスタートしたこの日は1オーバーの73。最終日こそ、真骨頂のバーディラッシュは披露できなかったが、それでもこだわりの恩返しは前日3日目にしっかりと出来たはずだ。

1日に2度の18ホールは後半の第3ラウンドで、道内最古の名門・小樽のコースレコードを塗り替える63をマークして、道内のファンを興奮の渦に巻き込んだ。
その中で本人も、ショットにも、パットにも手応えを掴むことが出来た。
また体力や精神面でも、「やろうと思えば、これだけ集中出来るんだ」という確信を持つには十分すぎるほどの、会心のラウンドだった。

「今週のプレーは今後の自信になる」。
次週から2週連続のアメリカにも、手応えを持って旅立てる。
ブリヂストンインビテーショナルと、全米プロ。世界ゴルフ選手権と、今季メジャー最終戦で、小樽での経験は必ず生きる。

そしてまた、そこで良い手土産を持って石川は帰国するだろう。
2週連続の北海道からいったん引き上げて、次の道内はホスト大会でもある9月のANAオープンだ。
当週の17日の大会2日目は、19回目のバースデー。
「僕の誕生日の週に、また北海道にお邪魔します。そのときにまた、良いプレーをお見せ出来るよう、海外で一杯良い経験をして戻ってきます。よろしくお願いします」と、深々と頭を下げた。
  • 小樽のコースレコードを更新して賞金30万円を受け取った石川は「今週のプレーは必ずアメリカで生きる」

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