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日本オープンゴルフ選手権 2010

石川遼は5打差から狙う、初タイトル

プロ1年目の一昨年から、2年連続の2位。3度目の正直は、5打差から悲願のタイトルを狙うことになった。この日3日目は、序盤からイライラが続いた。「体調も、アイアンのキレも、この3日間で一番良かった」。
しかしパットが決まらない。

7番は、カップの手前でショートした。
8番はボールがカップを覗きながら、わずかに外れた。
10番のパーパットも、11番のバーディパットもカップに届かない。
12番は「完璧に打った」というバーディパットがカップに蹴られ、「今日は途中まで、バーディが獲れるかどうかも、分からない状況でした」と振り返る。

なぜか、この日は打ちやすいはずの上りのパットが「珍しく打てなかった」という。ことごとく、おしくも外すというシーンが続いて「どんどん悪いほう、悪いほうへ、徐々に悪循環にハマっていくような感覚。開き直ってしまおうかな、と思ったくらい」。

痺れを切らしかけたとき、ようやくその瞬間はやってきた。
13番は、5メートルの下りのラインがカップをなめて、「また外れた!」と思った瞬間に、クルリと吸い込まれてようやくこの日初バーディに「そこから生き返ったというか、自分のゴルフが動き始めた」。

迎えた最終18番は、運が重なりパーセーブした。左に曲げた第1打は斜面を利用してラフまで転がり出て来た。8番で打った第2打は、「花道にキャリーして転がすイメージ」のはずが、強めに入ってグリーンに落ちて大きく跳ねた。
「オーバーした、と思った」ボールは、その瞬間にピンを直撃。グリーン上で止まった。「ついてるのかついてないのかよく分からない1日だったけど、最後はついていたのかな」と、ようやくいつもの笑顔に。
「今日は後半の3バーディが、ギリギリ明日につながった」と、頂点を見据えた。

1928年の浅見緑蔵氏が記録した、19歳9ヶ月の最年少優勝記録の更新は今年の第75回大会が、ラストチャンスだ。
そのために少なくとも最終日は5つ、縮めて首位に追いつく。
「出来ないことではない。明日は、気持ちをボールにのせていく。ショットとパットが噛み合えば、夢じゃない。少しの可能性にかけて、頑張りたい」。最後まで諦めない。

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