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東建ホームメイトカップ 2026
パー決着を悔恨したけど。石坂友宏は7季目のプロ初Vを鈴木さんに捧げる
稲森とのプレーオフを制してプロ7季目の初優勝を飾った石坂友宏(いしざか・ともひろ)は、歓喜の涙をこぼしながら「嬉しいような、悔しいような…」。
複雑な心境で、天を仰いだ。
決着は2ホール目のパーセーブ。
「やっぱり、バーディで決めたかったのに」。奥から4メートルを逃して悔いた。
「人生の師」と仰ぐ鈴木隆さんとの出会いは10歳のとき。たまたま、神奈川県横須賀市の自宅近くの練習場で一緒になり、ゴルフの専門ではなかったが、「(ティアップの)ボールはちゃんと手で置きなさい」
「…何言ってんの?この人」。
子どもながらに鈴木さんの確たる精神論に次第に共感。
小6から不登校になり、ついに中学卒業年まで学校に行けなかったが「別に行かなくていいよ」と言ってくれた鈴木さん。
一緒にいる時間が増え、「親とけんかしたときも、話を聞いてくれたり。厳しかったけど、鈴木さんが横にいてくれたら不思議と頑張れる、今の僕がある」。
プロ後も交流は続き、2023年の本大会でも、サプライズで駆け付け「もっと魂を込めなさい。活きた球を打ちなさい」が、口癖。
そんな鈴木さんの訃報を聞いたのは、昨年。10月の「日本オープン」の翌週に、93歳で旅立った。
「ショックでした」。
常にプレーの質や内容を重んじた鈴木さんならプレーオフでのパー決着は叱責したかもしれないが、1メートルのチャンスにつけ、稲森に追いついた17番では「友くん、決めてくれよ」と、鈴木さんの声がした気がした。
「きょうはやるべきことをやって、自分のテーマを貫くことができた」。
稲森と、真剣勝負をしながら、グータッチで互いの健闘を称え合うフェアプレーや対戦マナーも鈴木さんが一番、重要視していたことだ。
生前に吉報を届けられなかったのは無念だが、改めて、墓前に初V報告に行こうと決めている。
日本ウェルネス大学3年の2019年にプロ転向してから8年目。
「先輩だったり、同世代だったり後輩だったり。みんな1勝、2勝して、海外で活躍している選手もいる」。
コロナ禍の隔離で、本来なら出場権がなかった石坂にも出場資格が下りてきた2020年11月の「ダンロップフェニックス」では、金谷拓実(かなや・たくみ)と史上初のルーキー&学生プロ対決のプレーオフで敗れた。
絶好のチャンスを逃した石坂はいまようやく初Vを手にし、金谷はPGAツアーで奮闘している。
「僕は、初優勝がちょっと遅かったかな」と、出遅れを悔やむ。
今年は石坂も、世界進出を視野にアジアンツアーの予選会に挑戦。メンバー資格を獲りすでに転戦も始めており、「ここまで時間がかかってしまいましたけど、自分も負けないように頑張りたい」。
まだ26歳。
鈴木さんもきっと応援している。












