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出利葉太一郎はアルバトロスで始まりイーグルで締めた。米Qスクールで「勉強」⇒再チャレンジ誓う
今年、新たに初シード入りを果たした選手は7人。
うち、賞金58位で仲間入りを果たした。プロ3季目の出利葉太一郎(いでりは・たいちろう)は激動の2025年を、まずはアルバトロスでこじ開けイーグルで締めた。
開幕戦「東建ホームメイトカップ」の3日目、12番で規程打数を3つ縮めるアルバトロスを達成して3位に。最終日は豪雨で中止となったため、そのまま自身の最高順位を記録した。

さっそく初賞金シードの大きな足掛かりを作ると、主戦場のチャレンジトーナメントのACNツアーでも好調を維持。
トップ10を3度続けて、ついに同ツアーのシーズン最終戦「ディライトワークスJGTOファイナル」を、プロ初Vで締めた。

同ツアーのポイントランキング2位につけ、来季レギュラーツアーの出場資格を保持しながら、レギュラーツアーでも上位65人に食い込み初シードを獲得し、部門別ランキングのイーグル率賞でも1位に。⛳2025年賞金ランキング ⛳2025年イーグル率ランキング一覧
「今年、出場できた試合数(レギュラー13試合)は少なかったですが、その中でもイーグルめっちゃ取れました(全9個)」と、喜んだ。
飛距離部門のドライビングディスタンスでは、4位につけた飛ばし屋。
「特にダボを打ったあとのイーグル率が高かった」と屈託なく笑い、「飛距離を生かした賞が獲れて嬉しいです」と、お気に入りの茶色スーツに蝶ネクタイ姿で受賞コメントを残した12月8日の年間表彰式は、アメリカから帰ったばかり。
PGAツアーの予選会は、10月の1次から勝ち上がったが、12月2日ー5日の2次で敗退。第2ラウンドで3位に浮上し、5位で最終ラウンドに臨んだが、最後に崩れて21位に終わった。
最終予選進出に2打及ばず、無念の帰国にはなったが、出利葉は生き生きしていた。
「落ちましたけど、挑戦したことにすごく意味があった」と、目が輝く。
「アメリカだから広いと思ったらコースが凄く狭くて。サボテンがいっぱいあって、レイアップばかり。でも、そういうコースでも自分はこんなこともできる、あんなこともできる、また上手くなれた、また攻略できた、と。毎日成長を感じて興奮しましたし、すごく楽しかった」と、刺激的な4日間を振り返る。
日大同期の杉浦悠太(すぎうら・ゆうた)と、共に1次から勝ち上り、2次予選では3、4日目に同組で回った。
「日本でもそんなに回ったことがないのにアメリカで、ですよ! なんかマンガみたい…。こんなこともあるんだ、と。幸せでした」と、噛み締める。
PGAツアーへの挑戦は、昨季のファイナルQTで55位に終わった際に、即決意。
「僕に失うものは何もない。守る立場でないからこそ、逆にどこへでも出かけて行ける」。
1次予選の日程が、今季JGTOのQTサードと重なっており、来季の戦い場がどこにもなくなる危険もあったが、出利葉が最初の決断を変えることはなかった。
勇気をもって退路を断つと、逆に道は開けた。
今夏、レギュラーツアーの「リシャール・ミル チャリティトーナメント」で星野陸也(ほしの・りくや)のエースをつとめる薬丸キャディと組んで、プロとしての甘えを捨てた。
PGAツアーの予選会では、元日本ツアー選手で、当地在住のJ・チョイがキャディを買って出てくれ、共に過ごした4日間も大いに刺激に。
師匠と慕うシニアプロの髙橋竜彦の恩にも報いる一心で、駆け抜けた2025シーズンだった。
「僕は蛇年生まれの年男。プロゴルファーをしていてよかったなと思えた。すごい良い1年。支えてくださった周りの人たちにも感謝したい」と、激動の1年を噛み締める。
「自分はドライバーが武器と思っているんですけれど、もっと追及しなければ上にはいけないと分かった。日本とは違う芝、コースで経験できたことは財産。必ず今後に生かします」と、リベンジを誓った。
「アメリカでは予選会のことを、Qスクール(学校)っていうじゃないですか。だから今年は勉強。勉強で得た宿題を来年、返しに行きたいです」と、出利葉。
「今年1位が獲れたイーグル率賞を誇りに羽ばたきます!」。
鷲(ワシ)の名前にちなんでますます勇猛果敢に獲物を狙う。















