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ディライトワークスJGTOファイナル 2025
出利葉太一郎がプレーオフを制してプロ初優勝を飾る
「勝ったことに意味がある」。そう振り返った出利葉太一郎。
首位と1打差を追いかけてスタートした最終日は、スタートホールでバーディを奪い良い流れに乗った。5番、9番とバーディを積み重ね、いい雰囲気を醸し出していた。同じ最終組の内山遥人もいいゴルフをしていたため、それも相乗効果になった。ただ、折り返してからの後半の9ホールは苦しい展開になる。
「後半は苦しかったですね。ボードが無かったのも難しく感じた部分ですが、ただチャンスは結構作れていたので、この先レギュラーツアーで優勝することもそうですし、もっと上に行くにはああ言うのをしっかり決めていかなければならないなと思いました」。
後半はバーディがゼロの1ボギー。スコアを伸ばせないまま迎えた18番は、先に青山晃大が通算11アンダーでホールアウトしていたため、出利葉は最終18番ホールを最低でもパーで切り抜けなければプレーオフに残れない状態だった。ただ、ティショットは左へ大きくミス。グリーンは狙えずにレイアップして3打目勝負にかけた。
残り96ヤードを約6メートルにつけたが、これを外せば万事休すという場面で、執念で捩じ込んだ。
「最後まで諦めないことが勝因だったと思います。(本戦の)18番はもう決めなければ終わりという場面だったので本当に執念だったと思います。途中ランキングのことも頭に過ったんですが、もう入れるしかないし、勝つために来ていると言う強い気持ちでプレーしました」。
18番ホールで行われたプレーオフ1ホール目で青山がティショットを右にミス。その段階で出利葉としてはしっかり2オンさせてプレッシャーをかけることに集中した。結果、出利葉がきっちりパーをセーブして嬉しいACNツアー初優勝を手にすることになった。
「正直、実感がないんです。もちろん嬉しいんですが、実はもっと嬉しい感情が湧くものなのかなと思っていました。まだ終わったばかりで興奮しているのと、来週以降も試合が続くことも影響しているのかもしれません。いつかこの優勝の本当に意味がわかるのかなと思っていますが、今は本当に目の前のことを必死でやっているので、今回の優勝はもちろん嬉しいし、やっと勝てたという気持ちがありますが、通過点という感覚が強くて、なんだか不思議な気持ちです」。
9月に行われたPGA資格認定プロテストでトップ合格を果たし、さらに米ツアーの1次予選会を3位で突破するなど、やり続けてきたことを結果として成績で残し続けている。出利葉が言うように、この優勝の意味がわかるのはもっと先のことなのかもしれないが、多くの選手が勝つことを目指し、そして勝ち続けることを目標に戦っている。だからこそゴールやピークなんてものは存在しないのかもしれない。出利葉も同じようにそんな長い旅の途中に過ぎないのだろう。
今週、海の向こうでは大学の同期で最も刺激を受ける存在の1人、杉浦悠太が出利葉と同じように米ツアーの1次予選に挑み健闘している。最終日の朝も連絡があったそうで、お互いに切磋琢磨しながら高め合っている。杉浦もまた出利葉の優勝を目にして、大きな刺激を受けて最終日に挑むことだろう。
そんな杉浦らの活躍を見てまた出利葉も努力を続ける。今回の優勝は更なるステップに突き進むための第一歩になることは間違いない。















