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稲森佑貴が最終日に80を叩いて「完敗」

リンクスコースは最終日にこそ、試練を与えた。主催者は、悪天候を想定して予定よりスタートを早めて最終ラウンドを始めたが、すでに朝から風が吹き、冷たい雨が降った。
稲森佑貴は打ちのめされた。初出場にして、せっかく決勝進出を決めた自分にすら疑いを持ってしまう。無念の1日。
「予選を通ったことが不思議。完敗でした。歯が立たなかった」。

この日の稲森は、左からの風に苦しんだという。
「ティショットが荒れまくった。右にばっか行った」。
制御を試みても、球筋の強さが足りずにことごとく流された。

5番のトリプルボギーは、2打目をグリーンの奥にOB。フォローの風に、軽々と持っていかれた。打ち直しの4打目も乗せられず、5オン2パット。
前半で、5つスコアを落とした。
「もう後半は、順位は気にせずやってみよう、と。風を捕まえに行ったり、いろいろ取り組んだ」。
日本で4年連続フェアウェイキープ1位を誇るが「そんなこと、言ってられない。風を読み切らないと。飛んでる最中に向きが変わったり。太刀打ちできなかった。完敗ですね」。
この日は得意分野も生かせないまま。10番と15番のバーディもむなしく6つのボギーで消沈。
「80」を叩いて、スタートの通算イーブンパーから9オーバーまで転がり落ちた。

「やっぱり球筋が強くないとダメ。弱いと流されちゃう。飛距離も伸ばさないと。せめて簡単には風に煽られないように。まずはドライバーを修正したい」。
課題を並べ挙げても、すぐには前を向けそうにない。
「メンタルも疲れた。一回気持ちリセットしたい。来週はクラブを握るの減らそうか。一回ゴルフから離れようか」。
帰国後は、スイングを立て直すよりまずは折れた心を修復するのが先になる。
「もちろんリベンジしたい気持ちはある。しこたまやられたので。またチャンスあったら…」。
初めて経験したリンクスに復讐を誓っても、24歳の言葉は弱々しいままだった。

なお優勝は、シェーン・ローリー。68年ぶりに全英オープンの舞台となった北アイルランドで、アイルランド出身の32歳が”地元”でのメジャー初制覇に歓喜。通算15アンダーは、2位と6打差つける圧勝だった。

  • ”地元”で6打差の圧勝

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