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小平智は「技術がないからこれだけ打った」

今年、6月の「日本ゴルフツアー選手権 Shishido Hills」でツアー初優勝をあげたばかりの23歳には、今の身の丈を知るのにも、十分すぎる2日間だった。全英オープンの日本予選ランキングで最上位につけて、臨んだ初のメジャー戦。

海風にさらされて、かちかちのリンクスコースは、「こんなところでやったことがない」と、対処法さえ分からない。
初日の9オーバーにも、挽回する余地さえない。「ショットも、アプローチも、パットも。全部だめ」。2日目も、自分に足りないものばかりを数えながらのラウンドだった。

日本では、先輩プロに一目置かれるスイングでも「ここではもっといろんなバリエーションが必要で。フェードやフック。低い球に高い球・・・。今の自分には、ここでアンダーパーを出す力もない」。

諦めではない。現実を知っただけ。結局通算13アンダーは、悔しがるというより「技術がないから、こんなけ打った」。まさに悪戦苦闘に、初めてプロの試合に出た頃を、思い出したという。

アマチュアで出た2008年の日本オープン。福岡県の古賀ゴルフ・クラブは、もちろんミュアフィールドほどとは言わないまでも、やはり手も足も出なかったことを、覚えている。

「何をしても上手くいかない。守っても、攻めても、やることなすことすべて裏目に。あのときのことを、思い出した」と、小平は言う。
初めてのイギリスは、原点回帰の旅だった。自分のゴルフを見つめ直せた。
「もう一度、日本で技術を上げて、もっともっと練習をして、またここに実力を試しに帰って来たい」。予選落ちでも、打ちのめされたわけじゃない。

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