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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2011

ベテランの宮瀬博文が、日本タイトル保持者の髙橋竜彦がシード落ち・・・

今季は今週まで全24試合のうち、初優勝を挙げたのはアマチュアの松山英樹さんを含めて10人。若手の台頭はますます加速し、その分だけ弾き出される常連が年々、増えていくことは止めようがない。

シード落ちを喫した選手の中には、これまで18年間守ってきた鈴木亨や、ツアー8勝の細川和彦、今年の日本シニアオープンを制した室田淳ら、ベテランの名前も多い。

宮瀬博文は03年にも一度、陥落の憂き目に遭いながら、2007年の中日クラウンズで劇的な復活V。しかしそれから4年後の今年は賞金ランキング86位に終わって、再びシード落ちを喫した。

「ショットは良かったし、何がいけなかったのかも分からない。年かなあ」とつぶやいた40歳。「この年ではきつい」と、次週は三重県の「COCOPA RESORT CLUB 白山ヴィレッジゴルフコース」で行われるファイナルQTには、行かないことを決めた。

6日間の長丁場は、考えただけでも身も心も持ちそうにない。と、同時に「保険をかけない」という覚悟の現れでもある。

というのも宮瀬は、1年1回につき適用出来る生涯獲得賞金25位内の資格を持っており、今年はまずはファイナルQTで出場権を確保しておき、その切符は再来年以降の行使として取っておくことも出来た。

しかしそれは同時に、自分に甘えを許すということにもつながると宮瀬は考えた。「来年勝負、という気持ちでやりたかったんです」と、宮瀬。

一方、髙橋竜彦は、2006年に日本ゴルフツアー選手権の通算2勝目で得た5年シードも今年で切れた。賞金ランキングも100位に終わって、髙橋の気持ちはすでに、次週のファイナルQTに向いている。
「今週も、来週もやることは一緒」と、髙橋は言う。
目の前の1打に打ち込む姿勢。「それはどの大会でも同じでしょう。ただ、僕は一生懸命にゴルフをやるだけ」と、そこに特別な違いは何もない。
シード権の保持に奔走したこの1年。「何が悪かったのか。どうすれば良かったのか。今はまだ、振り返る時期じゃない。前を向くしかない」と自分に言い聞かす。

「人生は山あり谷あり。誰にでも波はある」。
37歳。「まだ30代。夏以降はゴルフも上向き始めているし、必ずカムバック出来る」と力を込めた。
そのかたわらにはプロゴルファーで妻の葉月さん。今夏以降は、数試合で夫のバッグを担いで支えてきた。「来週も、もちろん一緒に行きます」。夫婦で足並み揃えて、復活への道筋を探っていく。

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