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アジアが肉薄!!

欧州とアジアの対抗戦「ザ・ロイヤルトロフィ」は、15日・土曜日の2日目はフォアボールのマッチプレーを行い、アジアはこの日の4マッチで負けなし。2勝2分で初日のフォアサムで3ポイントのリードを許した欧州に、ついに1点差まで迫って、キャプテン・ジョーはエビス顔だ。
「今日は少しでもポイントを縮めることが目標だった。目標は達成された。みんなよく頑張ってくれた」とメンバーをねぎらった。

ひとまずほっと安堵の2日目も、今朝はさすがの直道も動揺した。チームのエースといってもいい韓国のY・E・ヤンが、「今日はだめかもしれない」と言い出した。持病の腰痛の再発だ。しかし、ルールで、いちど公になった組み合わせは、変更できない。
キャプテンの直道が変わってやりたくても許されない。青ざめた。すぐに、ペアのペアを組む金庚泰(キムキョンテ)に伝えた。「一人で行ってもらうかもしれない」。金も、第一声こそ「本当ですか?」。しかし、すぐに気丈に言った。「ヤンさんはこのあとすぐに米ツアーも控えている。無理はしてほしくない。僕は一人でも大丈夫です」。

頼もしい言葉。そして、ヤンはスタート直前の必死の治療で、「やっぱり僕が行く」と言ってくれた。それでもいざスタートするまでは、「本当に心配した」。ジョーの懸念はたちまち、杞憂に終わった。手負いのヤンは、なんとスタートの1番で、135ヤードの2打目を9番アイアンで直接入れた。そのあと、怒濤の4連続バーディで、「なぜか腰も痛くなくなりました」。
そして支える金も、9番で115ヤードの第2打をウェッジでカップイン。パー4で2度目のイーグルで、圧巻の5アップだ。

後半は、15番のホールアウト後に「僕が事前のルール説明会で、聞き落とした」と、金がグリーン上で禁止されている練習を始めてしまい、罰として次の16番はヤン一人でプレーすることになったが、危なげなくパーを拾い、次の17番では金がリベンジのバーディフィニッシュ。下から2メートルを沈めて終止符を打った。後半は、特にステンソンの追い上げが凄まじかったが、いくつもの試練を乗り越えて、強豪2人から勝ち点をもぎ取った。

1組目のジーブ・ミルカ・シンは、41歳の誕生日を迎えたこの日、ハッピーバースデーの大合唱に包まれて出ていった。プレーイングキャプテンのオラサバルとヒメネスは、やはり40代のベテラン2人を相手に、「僕はまだ21歳のつもりで頑張る!」。23歳のアフィバーンラトと手と手を取り合い、粘りに粘り、最後の18番は1メートルのパーパットをねじ込み、どうにか分け点の0.5。

裵相文(ベサンムン)と呉阿順(ゴアジュン)の2組目も、世界一の飛ばし屋コルサールツと、ドイツのジームを相手に、やはり引き分けの0.5で、2組合わせて貴重な1点を稼いだ。

そして、若い2人だ。藤本佳則と石川遼は序盤こそ、初コンビに少しぎくしゃくしていた。「藤本さんは、僕が小学生の頃からすごい人。中2の日韓戦までは、話したこともなかった」。ジュニア時代から、雲の上の人。遠慮からか、最初はあまり会話も進まない。それでも「お互いに、勝利への執着心があった」とは藤本。
石川は「今日は常に、藤本さんにティショットを打ってもらって安心感があった。90%は藤本さんの力」と、頼もしい先輩を支えにした。モリナリ兄弟は2009年のワールドカップの覇者を相手に拮抗した戦いも、石川が15番でイーグルを奪いついに逆襲のきっかけをつかんだ。

いよいよゲームが佳境を迎える頃。ふと藤本が、「ここのグリーンは読みづらい」と、先輩がそんな弱音を漏らした。16番では石川も一緒にラインを読んだ。それまで互いに淡々としたプレーがやにわに、熱く。「僕ならボール1個分、左に外して打ちます」と、石川。「あ、そんな感じ?」と、藤本。石川は、藤本よりさらに内側の3メートルにつけていたが、石川のアドバイスを聞いた藤本が先にバーディを奪って2アップ。ますます勢いづいた2人は17番で、相手のミスを誘って勝利の帰還だ。

初日の裵(べ)から、2日目のペア変更に石川は、キャプテンに感謝した。「藤本さんと、やらせていただいて良かった」。もちろん、バイスキャプテンの梁津萬(リャンウェンチョン)にも。
毎日、2人が練りに練って作ってくれた組み合わせだ。「お2人は戦術を練るのがとてもお好きで」。その作戦は、2日目にしてみごとにはまった。「今日は、藤本さんのおかげで勝てた」。確かな信頼も芽生えた。17番では40ヤードも先にいる石川に、藤本がアイコンタクトで風向きを伝えた。土壇場で、息もぴったり合って、「団体戦はキャプテン次第で変わるので。さすがですね」。

直道も梁(リャン)には感謝しきりだ。毎日、各選手の緻密なデータを取り、どんな相手をぶつけてきても直道が困らないように、幾パターンもの組み合わせを作ってきてくれる。「本当に助かっている」。16日の日曜日はいよいよ最終マッチ。勝負のシングルス戦も、もちろん2人の自信作だ。

<2日目(フォアボール)の結果>

−ホセマリア・オラサバル&ミゲル・エンジェル・ヒメネス A/S K・アフィバーンラト&J・M・シン−
−マルチェル・ジーム&ニコラス・コルサールツ A/S 裵相文&呉阿順−
×ヘンリク・ステンソン&ゴンサロ・フェルナンデス・カスタノ 2&1 金庚泰&Y・E・ヤン○
×エドアルド・モリナリ&フランチェスコ・モリナリ 3&1 藤本佳則&石川遼○
   
 欧州 4.5:3.5 アジア

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