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東建ホームメイトカップ 2010

上田諭尉(うえだゆい)は「先行逃げ切りでいく」

インスタートの最終9番で、ボギーを打って負け惜しみ?! 「いや日本では“4”という数字は良くないからね」。通算3アンダーと、最後にひとつスコアは落としたが、根っからのプラス思考は気にしない。

トレーニング中に、ぎっくり腰をやったのは2週前。大会を目前に控えて青ざめた。直後は痛みで、球を打つことさえままならなかった。
最悪なら今大会の欠場もありえたが、これまでの鍛え方が奏功したか、どうにか間に合った。

「やっと打てるようになってきて、ホッとしているところに、こうして良いスコアも出せましたし」。直前にそんなハプニングもありながら、開幕戦からこうして上位でやれることが何より嬉しい。

もっとも、予感はあった。
このオフは、特に握力の強化に重点を置いてきた。
昨年、たまたま計測する機会があったのだが、愕然とした。

以前は軽く70キロが握れたのに、なんと50キロまで落ちていたのだ。
「握力が落ちているからラフから打っても負けるし、飛距離も落ちた」。
さっそく、先端に鉛を結びつけた紐を両手で巻き取っていくメニューを取り入れ、65キロまで回復させた。

谷口徹に誘われて参加した宮崎合宿も、目からウロコだった。
スイングや技術面はもちろん、感化されたのはゴルフに対する取り組み方だ。

「谷口さんは確かに暴言は多いけど」と笑わせてから、「ゴルフに対する気持ちはいつでも真剣」。
たとえば合宿中も、もちろん呑みに行ったりはするものの、けっして羽目を外すことがない。
「早めに帰ってきちんと寝る。合宿でも、試合の雰囲気で生活している」。
過去2度の賞金王の生き様は、見習うべきことばかりだった。
自然と本人も、意識が変わっていったという。

昨シーズン終盤は「ヒヤヒヤした」。ボーダー線上の争いを演じた(賞金ランクは70位)苦い経験を教訓に、今年一番の目標も謙虚に「まずはシード権の確保」というが、この調子ならそれも早々にクリア出来そうな勢いだ。

この開幕戦は、2007年にツアー初優勝。
しかし、たった1勝に甘んじているわけにはいかない。
「やれるという手応えもある」と、自信もみなぎる。

ここ地元・三重県桑名市からほど近い岐阜県の大垣市出身。
会場の東建多度カントリークラブ・名古屋は、ご両親のメンバーコースでもある。
勝手知ったる庭で、ますます活き活きとプレーが出来るのは、やっぱり弟の崇宏(たかひろ)さんの存在が大きい。

実家の家業を立派に引き継ぐ崇宏さんは多忙を極め、なかなかその機会はないが、毎年この地元開催の今大会だけは無理を言ってバッグを担いでもらうことにしている。

「初優勝のときも担いでもらったし、今年もげん担ぎの意味も込めて」と上田は言うが、心の拠り所という意味ではそれ以上だ。

この日2日目も15番で好アシスト。
残り110ヤードのショットで、アドレスに違和感を感じた上田が早速、崇宏さんにチェックをお願いしたところ、ピンそば1メートル。バーディで、波に乗った。
ジワリ、とボードのてっぺんに浮上した。

決勝ラウンドは首位タイからのスタートだ。爆発力には定評のある36歳は、心強い相棒とともに「今年は先行逃げ切りでいく!」と誓った。

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