Tournament article

日本プロゴルフ選手権 2009

石川遼がホールインワンを達成

人生初の瞬間は、あっけないものだった。203ヤードの17番パー3。5番アイアンで打ったティショットはグリーン手前のエッジぎりぎりに落ちて、約6メートルほど転がって、カップイン。

周囲の歓声でそれと分かったが、石川の喜びは薄かった。
「もっと興奮するだろう、と思っていたけれど…」。

この日は、まだ本戦前日の練習日だ。
会場にはまだ緊張感もなく、テレビ協賛各社提供の200万円のホールインワン賞も、翌11日(木)から始まる本戦からだ。

「本当は試合で出て欲しかったのに……。入ってしまったという感じ。ここでやるかという感じで雰囲気に合っていないホールインワン。KYでしたね」と苦笑した石川は、「やっぱり練習日だと、(賞金は)もらえないですよね?」と、念押しして笑わせた。

それでも、吉兆には違いない。
「200ヤード以上向こうから、数十センチのカップを狙って入ってしまったんですから。しかも、メジャーの舞台で非常に確率の低いことができたのですから感動的です。北海道は何かある」。
昨年のツアー実績でいうと、パー3で3万6655ショット打たれたことになる。うちホールインワンは17回。確率でいうと、2156分の1の快挙に17歳の心も躍る。

プロ日本一決定戦の舞台となる恵庭カントリー倶楽部は、500ヤードを超えるパー4が3つある。
普段は、パー5として使用されているホールもあり「特にグリーン回りの難易度が高い」と石川は見ている。
おまけにグリーンはセンターから奧に向かって下っている箇所もあるといい、ロングアイアンで、ピンポイントで打って行くのは至難の業だ。加えて、寒冷地特有の洋芝が、攻略の鍵を握る。「ボールが浮きやすい高麗(芝)に比べ、沈む芝の厳しさもある」と警戒を深めつつ、「でも、すごくやりがいのあるコースだから」と、闘志を燃やす。

月曜日はインコースを2度。火曜とこの日水曜はそれぞれ18ホールを回り、ティショットもアプローチも、同じ箇所から何球も何球も打ち直して「試合前の準備としては、最高の状態になっている」と、自信も十分。

勝てば、1931年大会のチャンピオン・浅見緑蔵氏が持つ20歳の大会最年少優勝記録を更新する。
「明日は、17番も良い気分で立てると思うし、初日のスタートからエンジン全開で臨みたい。最初から優勝争いしているつもりでやる」。
本番を前に、力をこめた。

関連記事