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フジサンケイクラシック 2009

井戸木鴻樹がホールインワンを達成して暫定首位に

85年以降の記録としては、ツアーで最多タイとなる7度目の快挙達成も、「ああこれで1ホール、パターしなくて済んで良かった」とは、今なおパッティングのイップスに悩む選手らしいコメントである。

202ヤードの2番パー3は、7番ウッドで「完璧なティショットが打てた」。
かなり寄っただろう、との確信を抱きながら、落下地点も見ずに歩き出したら、同組の前粟蔵俊太が教えてくれた。
「入りましたよ!」。
このイーグルにすっかり気を良くした井戸木は、25°のユーティリティで打った、185ヤードの4番パー3でもピン横30センチにつけるなど、ショットが冴え渡った。

打ち下ろしの11番(492ヤード)で第2打が196ヤードも残り、「僕はホントに飛びませんわ」と笑ったが、7番ウッドで20センチにピタリとつけた。

8番で、奧から1メートルのパーパットで気持ちだけが先走り、「頭が先にカップに入ってしまうんじゃないか」と本人も苦笑するほど前につんのめりながら、これをしのいだ。

いまはバッグに、1、3,4,5,7と、ユーティリティというクラブセッティングに「ウッドは6本……六本木ですわ」と、インタビューにもシレっとオヤジギャグを盛り込んで、47歳が得意満面。

3日目に、2位と3打差の単独首位につけた7月のセガサミーカップ。優勝こそ藤田寛之に譲ったが、最終日も粘りに粘って1打差の単独2位につけたことで、「自分のゴルフが出来るようになって、今では自信も取り戻しつつある」と、気持ちもがぜん前向きだ。

このフジサンケイクラシックは2007年の2日目に肋骨骨折が発覚して途中棄権。前週に受けたマッサージ中の事故をきっかけにシード権喪失の憂き目を見たが、今年は無事その奪還にも成功して2年ぶりにここ富士桜に戻ってきた。

「今の若い子は、ものすごい飛ばすのに、みなやっているでしょう。飛ばない自分が、やらないわけにはいかない」と、一念発起でスタートしたトレーニングは腹筋、背筋、スクワット…と、ごくオーソドックスなメニューだが、シーズン中もほとんど毎日欠かさない。
おかげで「昔より体力もあって、今のほうがずっと若い」と、言い切れる。

しかし、ごくたまに「今日は疲れたからまあ、いいか」と、サボってしまうこともあると照れ笑いで打ち明けて、「その辺が、まだ甘い部分」と頭を掻くが、「もちろん、そこに向かってやっていくつもりです」と、16年ぶりのツアー通算3勝目を見据えている。

※2番でホールインワンを達成した井戸木には、主催者から10万円が贈られ、ホールアウト後に、堀口壽一・大会事務局長より目録の贈呈式が行われました。

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