Tournament article

VanaH杯KBCオーガスタ 2009

石川遼が単独2位に

インスタートの11番は、5メートルのバーディチャンス。「最初の3メートルが上りの逆目、2メートルが下りの順目」という難しいパットで「完璧なタッチが出せたのが、大きかった」と振り返る。

豪快な飛距離が魅力の石川が、この日は現在、部門別ランキングで1位のパッティングで魅せた。ボギーなしの7アンダーは、「10番から9番までミスもなく、邪念もなくストロークが出来た。パッティングが今日のスコアにつながった」という。

会場のここ芥屋ゴルフ倶楽部はツアーで唯一の高麗グリーンで、ベントなどの洋芝に比べて目が強く、ラインも難解で苦手意識を示す選手が多い。
「短いパットも油断出来ない。逆目の上りは球速が落ちやすい」と、石川も例外なく警戒を強める。

これまではストロークの速さを一定に、ジャストタッチの距離感を積んできたが「今週は、20〜30センチオーバーするイメージで」。
最近、練習を始めたという「勝負のかかった場面で絶対にショートしないパッティング」を磨くにも、うってつけのこの舞台でさっそく日頃の成果を発揮した。

絶妙のサポートもあった。2週前の全米プロから、12月の最終戦・日本シリーズまで続く17連戦に備え、火曜日の練習ラウンドを9ホールで切り上げた石川のかわりに残りの9ホールを歩き、グリーンを隅々までチェックして回ってくれた、専属キャディの加藤大幸さんのアドバイスも良かった。

スタート前から、好発進が予感できた。
練習場で打つ前に必ず行う重いクラブでの素振りは、「体調があまり良くないときは1回目、2回目くらいで体の硬さを感じてバックスイングやフォローとかでキツいこともある」。

しかしこの日に限ってはそれがいっさいなく、体調の良さを実感してのティオフだった。

32度を超える暑さの中には、クエン酸入りのドリンクをペットボトルに4本分。水分補給も怠らず、常にピンだけを見つめる17歳は、100ヤード前後のアプローチでカップの周辺のラインを確かめに、グリーンを見に行くひと手間も欠かさない。

「7番とか2段グリーンで、どこに落としてどうやって寄せていくか。レベルの高いものを自分に提案して、こうやって打つんだぞ、と自分に言い聞かせてやっている」。

課題のドライバーショットには、やや首をかしげて「4番、10番、13番、16番、18番で、スライスがあって。紙一重のところで、トップから切り返しのタイミングが合ってない。まだまだ、上手くなる余地がある」と好スタートにも納得はしておらず、さらなる進化を求めるその先に、最速の今季3勝目が待っている。

関連記事