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カシオワールドオープン 2008

石川遼「諦めない心はゴルフでも、貼り絵でも同じ」

圧巻のモザイク画は、本物以上の出来…!!
実物は噂と想像をはるかに超えていた。大会の地元・高岡郡四万十町の窪川高校の1年生32人が作成したという石川の似顔絵を模した巨大モザイク画は縦にして約10メートル、横幅なら6.5メートルもある。

22日から同校で始まった文化祭のため、校舎の屋上からつり下げられた光景はまさに圧巻。
この日26日のプロアマ戦終了後。表彰式が始まるまでのわずかな合間を縫って、その様子を目の当たりにした本人も、思わず息をのんだ。
「大きい大きい、とは聞いていましたがこれほどとは…!」。

さらに、担任の岡林美樹先生からその行程を伝え聞いて、ますます唖然。

4月に実行委員会をたちあげ、「同世代で活躍している人の作品を作ろう」との話しに決まり、5月から取りかかった。
横80センチの模造紙を32人が1人3枚ずつ受け持ち、地道な作業で貼り付けられた2.5センチ四方のいろ紙は、なんと約13万枚。

しかも、約4ヶ月かけて完成されたというそれは、似顔絵というより写真といっても良いほど精密な
出来上がりだ。
自分と同じ高校生が自分をモデルに選び、大作を作ってくれたということも嬉しい。

しかし同校は、コースから車で3時間。
高校生に直接会ってお礼が言いたかったが、さすがにそれは難しい。
そこで大会の地元の芸西村役場が気を利かせ、わざわざ高校から運んで同じように飾ってくれた。
そこに駆けつけた石川は「諦めないで最後までやり遂げたらあれほどリアルで美しいものが出来る…。それは、ゴルフでも貼り絵も同じことなんですね」。

5位に入った今季の開幕戦のころは、自分でも「粘り強さがなかったと思う」。
初日に出遅れたら、最後まで取り返せないまま4日間を終えることも多かった。
当時は本人も、今年はシード権が取れて精一杯だろうと思っていた。

しかし、それでも目先の結果ばかりを追いかけることなく、諦めないゴルフを続けていたら「気持ちだけではなく、技術にも粘り強さが出てきたと思う」。
天候や自身の調子にかかわらず、上位で踏ん張れる地力もついてきた。

次週の最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」を完走さえすれば、史上最年少での1億円突破は確実だ。
ツアー1勝をあげたばかりか、世界ランカーが集結した先週のダンロップフェニックスで単独2位につけたことで、今週発表のワールドランキングは117位から67位に急浮上。
「今までは、まったく気にかけることがなかった」という世界も見えてきた。

いよいよツアーは残り2戦。
来季のマスターズにも出場できるかもしれないという状況に、気を抜いている余裕はない。
「2試合で下手になるのではなく、もっとゴルフが上手くなるように…。今週からは、また新しい気持ちでやる。トップとどんなに離されても諦めないでやりたい。そうすれば、きっと結果もついてくる」。

窪川高校のみなさんが心を込めて作ってくださった似顔絵を通じ、同世代のみんなに改めてゴルフに対する姿勢を教えられた石川は、気持ちも新たに初出場の今大会に挑む。

※当初、この原稿内に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

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