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マイナビABCチャンピオンシップ 2008

星野英正「勝ちたいという意欲が出てきた」

7月のUBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズでツアー通算3勝目をあげたあと、モチベーション
が下がったのは、自分に対して厳しいからだ。
「そういえば、前の初優勝のときもそうだった」と振り返る。

誰でも好不調の波はあるものだが、勝った瞬間をピークと考えたときに、そこから少しでも外れることを自ら良しとしない。

「自分に対して求めるものが高くて、下がるとすごくいやなんです」。
しかしそれで戦う意欲まで失っては本末転倒。
「悪くても、それなりのゴルフが出来ないといけない」。
そのことは、コーチの江連忠からも言われていることで、目下の課題でもある。

そんなこんなでなんとか停滞した流れを変えようと、先週のブリヂストンオープンは思い切って欠場した。
拠点を置く兵庫県で、ラウンド練習とトレーニングに黙々と汗を流した。

その成果はあった。
練習中にひらめいた。
「僕は手先が器用。人よりも繊細だから・・・」。しかしそれゆえの弊害もある。
「最近、グリップがウィークになりすぎていた」。
気がついて、軽くフックに握り変えたら「ピタっと合った」。
それはわずか数ミリ単位の修正だったが「それだけでこんなにも違う」。
確かな手応えとともに、戦線復帰だ。

4番でバンカーからの第3打は「強めにスピンをかけて、ジャストイン!」。
スピン量、球筋、球の高さ、距離感とも「すべて一致した完璧」な1打は「タイガーでもなかなか出来ないと思う」。
自画自賛のチップインイーグルにますます勢いづいたパット巧者は、マスターズ並みに速いと言われる高速グリーンも「そうかな? 僕は合ってる」と、意に介さず5アンダーは首位スタートに「一気に勝ちたいという意欲が出てきた」。
現在、賞金ランク6位の男が賞金レースに名乗りを上げた。

会場のABCゴルフ倶楽部は思い出の詰まった場所だ。
デビューするなり5試合連続の予選落ちを喫した2000年。
初の予選通過に、初賞金の168万円を手にしたのもここだった。

また64の自己ベストをマークして、初めての最終日最終組に挑戦したのも2001年の今大会。
出身の宮城県から移り住んで8年。
今季同期の矢野東が大活躍だが「いざコースに出たら、自分との戦い」とマイペースを決め込み第二の故郷といってもいいこの地で、ツアー4勝目をにらむ。



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