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日本オープンゴルフ選手権 2008

最終日を前にいよいよアンダーパーはただ一人

最終18番のバーディチャンスは「20センチは切れるスライスライン」。ど真ん中からねじ込んで、片山晋呉が吠えに吠えた。どうだ、とばかりにガッツポーズを握った。
最後にアンダーパーに戻して3日目を終えて「最高にいいゴルフでしょう?!」。

ほとんどの選手が疲れ果てた顔でホールアウトする中で、ただひとり笑いが止らない。

あがり5ホールで3つのボギーを打ったがこの難コースにあっては「パーみたいなもの」と、引きずらない。
特に最難関の14番は、ラフからラフを渡り歩いたが「ダブルボギーもしょうがないのが入ってくれた」と、むしろボギーにとどめたことを喜んだ。

15番でも長いボギーパットを残して「助けてぇ〜・・・と思いましたけど」。そう振り返る様子も、なぜかどこか楽しげだ。

晴天続きの太陽と、すぐそばの玄界灘から吹く海風にさらされて、日に日にスピードを増す高速グリーンは「止らないものは止らない!」。
ラフからのショットに悲鳴をあげつつ、ほとんど平らな面が見あたらない難解なアンジュレーションは、むしろ「好き」という。

「“入れる”じゃなくて“入る”と確信できる」という好調のパットは「ラインが見えるんです」と、こともなげに言ってのける好調さだ。

今年の全米オープンの「“トーリーパインズ”にも匹敵する」と片山。
「とにかくとんでもない難しさ」と表現するここ古賀で3日間連続で首位に立ち、実力のほどを見せつけた。

4打差2位に若い上井が控えるが「ここはラックでは勝てない。ただ飛べばいいわけでもない。これだけタフだと、追いかけるほうもつらい。年齢とともに重ねた技術と精神力と、そのときの調子と。すべてを兼ね添えた選手が勝つ」と、軽くいなした。

中嶋常幸から言われた言葉を大事にしている。
「日本とつくタイトルを一杯取りなさい。取れば取るほどいろんなことが分ってくるから」。
その最高峰で、今年もまたピタリと照準を合わせ、またひとつ偉業を達成しようとしている。
永久シードのツアー通算25勝目に王手がかかるが、「明日も笑っていると思います」と気負いはない。

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