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カニトップ杯チャレンジトーナメント 2007

「この優勝は娘と父ちゃんのお陰です」

初優勝の中島雅生
梅雨明け前にも関らず、初日から最終日まで各日30度以上の厳しい気温と7,200ヤードを超すコースにはポテトチップス状の難しい硬いグリーンが選手達を苦しめた。
2日目終了した時点でトップと4打差以内に30選手がひしめく展開となった大会最終日は、後半に入って最終組の中島雅生と太田直己の20代コンビの2人に絞られてきた。

2人は同じ大学の同級生で手の内は知り尽くしている。ともに4アンダーのトップタイでスタートした両者は、前半の9ホールで中島が2バーディ、ノーボギーの34とスコアを伸ばしたのに対し、太田は2バーディ、2ボギーのパープレー。この時点で2打差をつけられた太田だが、折り返しの11番、12番で逆に中島が連続ボギーを叩いてしまった。この時点で両者4アンダー。そして15番で2.5mのバーディを奪った中島に対して太田もバーディを入れ返すという大詰めに入り一歩も譲らない白熱した展開となった。

波に乗る中島は続く16番でも2mのバーディパットを沈め連続バーディとしたが、一方の太田はパー。1打差リードで迎えた中島の17番、パー3「パーで良い。と思ったのがダメだった。」と勝負どころでの痛いボギーに反省の中島。「上手い人はバーディ狙いで攻めて結果パーを取ってくる。」
結局このホール、パーで乗り切った太田と再び5アンダーで並んだ。そして迎えた最終18番パー5ホール。2人のティーショットは太田が右ラフに、中島はフェアウエイをキープした。ラフから2オンを狙った太田のボールは、グリーン左手前のクリークの中へ。ドロップ後グリーンに乗せて2パットのボギー。一方、フェアウエイからの中島のセカンドは、グリーン左奥のラフへ。そこからグリーンに乗せて2パットのパー。プロ6年目にして待望のチャレンジトーナメント初優勝を手中に収めた。

今年の1月8日に女の子「名前:ひかり」の赤ちゃんが生まれ一児のパパになった中島。昨年のクォリファイングトーナメントでは、サードで落ちてしまった。「サードで落ちるとショックが凄いんですよ。ゴルフを止めて本当に別の仕事に就職しようと真剣に考えました。」と大好きな動物の犬に関わる事ができる関係の職業につくため学校の資料を取り寄せた。

そんな時、偉大な父である中嶋常幸に「今年の2月に半強制的にゴルフ場へ連れて行かれてトレーニングを行うことになりました。アプローチを中心にトレーニングを行ない、やっているうちにもう一度ゴルフにかけてみようとやる気になりました。」今年は旭川オープンで8位、北陸オープンで3位など父から学んだアプローチで上位に食い込んでいた。チャレンジの出場資格がない中島は、今大会主催者推薦での出場。「トレーニングのお陰でショットでミスしてもグリーン周りからリカバリーが出来るようになりました。」と最終18番グリーン周りからのアプローチで見事パーセーブ。

「ファーストパットを打ちすぎて40〜50センチの最後のパットが果てしなく長く感じました。最後のパットを入れる前に娘の顔が浮かんできました。娘に勇気付けられました。この優勝は娘と父ちゃんのお陰です。早く子供に会いたいです。」と今まで苦しんできた約5年間。これからは今までの教訓を生かして生まれ変わった中島雅生を大きく成長させるに違いない。

なお、チャレンジトーナメントにおいて今年の年間獲得賞金ランキング第1位者には翌年1年間の出場資格が、また2位から7位までの選手には翌年前期の第1回リランキングまでのツアートーナメントへの出場優先権が与えられる。

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