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〜全英への道〜 ミズノオープンよみうりクラシック 2007

5位タイの井戸木鴻樹

自称「日本一飛ばないプロ」が、慣れ親しんだコースで好スタートを切った。アップダウンがきつく、落としどころがシビアなここよみうりカントリークラブで9番ウッドを含む5本のフェアウェーウッドを駆使し、絶妙のアプローチで再三のピンチもしのいだ。
ボギーなしの67をマークして、井戸木が得意そうに胸を張る。
「ここはもう、回り慣れていますからね!」。

地元・関西出身。「いつもは1人もいないけれど(笑)、今日は7人くらいは、ついて歩いてくれはったかな?」。熱心な地元ファンの前で、プロ25年目の技を存分に披露した。

今大会の上位4人には、全英オープンの出場権が与えられる。
5位タイ発進に、45歳にして初のメジャー切符の夢が膨らむが、本人は浮かない顔だ。

「僕らクラスの選手は、メジャーよりもまずシード権」。
海外遠征となるとやはり1、2試合は国内戦を休まざるをえずここ数年、シード権の保持に苦労している井戸木には、国内戦を犠牲してまで狙っていく気持ちにはなれなかった。

しかも、イギリス遠征となると長時間のフライトになる。
旅から旅への毎日を送るプロゴルファーでありながら乗り物全般に弱く、特に飛行機は「国内線で空港の上空を旋回されただけで、すぐにヘロヘロになる」という井戸木にとって、それが一番のネックだったのだ。

この日のインタビューでも「イギリスですかあ…。遠いなあ」と、関西独特のイントネーションでつい本音がポロリ。

しかし、今年の全英オープンは、そんな井戸木の数々の不安も取り越し苦労に終わりそうだ。
今年の日本ツアーはちょうど全英オープンのあと、1週間のオープンウィークだから、日程的な問題はほぼクリア。
まして、ここでいっきに優勝してしまえば来季のシード権など気にしなくても良いではないか。
「そりゃもう、そうなったら最高ですわ」と、満面の笑み。
ツアー通算3勝目をあげたら、心置きなく旅たてる。
多少の乗り物酔いも、良い土産話になるというものだ。

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