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マンシングウェアオープンKSBカップ 2007

杉原輝雄「このままくたばりたくないんです」

この日のプロアマ戦。ホストプレーヤーを代表して、デサントの石本会長と和気藹々のプレー
この日水曜日のプロアマ戦。大会主催のデサントの石本恵一・代表取締役会長らと和気藹々のラウンド中のことだ。杉原の目が鋭く光った。横道をそれて、タタタっと近くの花壇に駆け寄ると、すばやく身をかがめて拾い上げたのは誰かが落としていったゴミ。

スタッフが気がついて、「捨てておきます」と手を差し伸べたが静かに首を振った。
「いやいや、私が拾ったんやから・・・」。
さりげなくそう言って、小さく畳んでゴミ箱に捨てた。
本人は、「当たり前のことをしてるだけ」と言うが、そんな姿勢がファンを引きつけてやまないドンの魅力だ。

エントリーするたびに、報道陣に囲まれる。
世界でも例を見ないレギュラーツアーでのエージシュート達成と、自身の記録を破る最年長予選通過への意気込みを聞かれる。

特に今週は、ホストプレーヤーとしての活躍が期待されるが、全長7072ヤードのコースを前にして、とても強気なことは言えそうにもない。
70を下回るスコアで回ることは「今の自分にとって、65で回るくらい至難の業」と杉原は言う。

「415ヤードでも、セカンドでウッドを握らなくちゃならない。寄せてパットで拾って、チャンスを作りたいけれど、なかなかチャンスが作れない。ハーフで49がやっとなんて、お話にならない」と、ひとしきり後ろ向きなコメントを並べたあとで、「だけど、このままくたばりたくないんです」。

無理を承知で偉業に挑む姿が、ギャラリーの共感を呼ぶ。
70歳を目前にして、懸命にクラブを振る杉原を見てすがすがしい気持ちになって、「俺たちも頑張ろう」と満足して帰っていく中高年のギャラリーは多い。

「期待に答えたいですね」。
69歳が、今週も全身全霊でコースに向き合う。
  • 拾い集めたゴミをさりげなく捨てる。
  • プロアマ戦の合間に父親から激励を受けた長男・敏一(右)も大会主催のデサントのメインブランド『マンシングウェア』着用プロ。親子で大会を盛り上げる!

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