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日本オープンゴルフ選手権競技 2007

谷口拓也が69のベストスコアをマーク

この難コースで感情をあらわにしたら、一巻の終わり。ほかの多くの選手が語っているように谷口も、「明日以降も淡々と行きます」と話したが、よくよく聞いてみると彼の言うそれは、通常の意味合いとは少し違っていた。

それは、プレーぶりを見ていたらよく分かる。
ラフに入れたら、大きなリアクションで悔しがる。アプローチをミスしたら、人目をはばからずに絶叫する。
「僕は、怒るときは怒ります。だって、それが僕のスタイルだから」。
コースで気持ちを抑えるなんて、絶対に無理。
「だって一生懸命プレーしてるんだから。出るでしょう、普通。出さないなんて、そんなのウソだ」。

谷口にとって「淡々とプレーする」とは、普段の自分を出していくこと。
一見、矛盾するような話だが、本人にとってはそういうことらしい。

そしてその理屈でいけば、今季前半戦のスランプは、「感情を外に出してプレーしなかったから」。
ある日、東北福祉大のひとつ先輩に叱られた。
「おい、タク。あんまり怒りながらプレーするなよ」と言った谷原秀人に心酔している谷口は、もちろんその言葉に従った。
日ごろから、「いつかタニさん(谷原)みたいになりたい」と言っているからには当然のなりゆきだったが、皮肉にもそれが不調の原因となってしまった。
予選落ちが続き、スランプに陥った。

抑えた怒りはとぐろを巻き、心の底に澱のように溜まり、どこにも発散できないストレスが、元来の思い切りの良さを奪っていった。

昨年の全英オープンで5位。賞金ランキングは2位。そして今季も同ランク3位につける谷原の活躍は、確かに刺激にはなるけれど「それでもやっぱり俺は俺」。
たとえ尊敬する人からの助言でも、自分らしいゴルフをしなくては「やっていても、面白くない」。
だから今週は、弾けまくる。シーズン序盤の反省を踏まえ、喉から手が出るほど欲しいこの日本一のタイトルも、「僕らしいスタイルで獲る」と、頑固に言った。

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