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アイフルカップゴルフトーナメント 2003

『みんなのおかげかな』プロ4年目の鹿田英久が10バーディをマークしてトップタイ

インスタートの10番から怒涛の5連続バーディ。18番ではティショットで暫定球を打ち、セカンドでは池ポチャを覚悟したほどの大ミスを繰り返しながらも、やっぱりバーディを奪ってハーフ29。そのときはさすがに、「今日の俺は、いったいどうなってんだ」と恐くなったほどだった。

だから、4番でこの日初めてのボギーを打って「逆に気持ちが落ち着いたくらいでしたね」と苦笑いで振り返った鹿田。

それでも10バーディ(3ボギー)の65は自己ベストスコアで、井戸木と並んでトップタイ。「途中はいったい、どこまで行くのかと思いましたけど(笑)。これまでいろんな人に応援してもらってきたおかげで、今日はこんなスコアが出たのかな」。

ファイナルQTランク25位の資格で本格参戦を果たした今シーズン。ウェイティングで滑り込み出場を果たした開幕戦で日大の大先輩、高橋勝成とたまたま練習ラウンドする機会があった。

「それ以来、いろんなことを教わっているのですが、勝成さんがいつも言うのは『下半身を使ってスイングしろ』ということ。以前は、ボールが吹き上がってかえって飛ばなかったんですが、最近はこれまでの6割くらいの力で振っても飛距離はそのままで、むしろ強い球が出るようになってきました」。

また、先週のサトウ食品NST新潟オープン3日目にまわった奥田靖己には、ホールアウト後にこんなことを言われた。

「歩測やラインを読みすぎているのが、かえってあかんのと違うか」。

その日、わずか50センチのバーディパットに時間をかけて、結局チャンスを外した鹿田を見かねた奥田は、「もっと見た目を信じて打ってみたら」とすすめてくれたのだ。 96年の卒業後、滋賀県・信楽CCの研修生になったころから、打つ前に必ず入念な歩測、グリーン上では前から後ろからラインを読んで・・・というルーティンを続けてきた鹿田にとって、この“奥田流”は少し恐くもあったが、「試してみたら、少々雑なほうが僕には良いのかなって」。この日初日も打つ前に、ボールの前には一度も出なかったという。

そのほかにも、振り返ればたくさんの恩人たちが節目節目で力を与えてくれた。2000 年、6回目のプロテスト受験直前には大学時代から交流のあった歌手・前田亘輝さんに、「大勢の前で歌うのは、緊張しないのですか」と尋ねてみたことがある。そのとき前田さんが、鹿田に言ってくれた言葉。「おれは歌うことが大好き。だから誰が見ていても緊張しないんだ。おまえもゴルフが好きでやってんだろ!」。これをきっかけにプレッシャーから解放されて、晴れて合格できた経緯もある。

また、日大同期の今野康晴は、いま、鹿田がもっとも追いつきたい選手。今野に会えばいつも、大きな刺激を受けているし、おなじく先輩の米山剛も、今週、鹿田のそばにやってきて「大分、良くなってきたじゃないか」と、自信をつけさせてくれたものだ。

そして、今年2月に入籍した3歳年上の妻、三奈子さん。今週からキャディバッグに名前を文字って、「375」の刺繍を入れた。照れくさくてみんなには理由を聞かれても、「ドライバーで375ヤード飛ばしたいから」とごまかしているが、いまもっとも心の支えであることは確かだ。

「この新しいバッグの効果もあったかな」と照れ笑いを浮かべた鹿田。「この勢いで、今週はトータルで16アンダーくらい出してみたい」。

2000年には、愛媛県宇和島で父が経営していた建設会社が倒産するなど幾多の苦難もあったが、いろんな人々に支えられて、いまようやく、日のあたる場所に出てきた。

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