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アイフルカップゴルフトーナメント 2003

『これからは、未知の世界。どうなることやら・・・』これがツアー11試合目。鹿田英久は阪神タイガースのごとく・・・

猛虎のごとく、鹿田が依然、驀進中だ。
10バーディを奪って首位発進した前日初日。ホールアウト後の練習場で師匠と慕う 高橋勝成にゲキを飛ばされた。
「オマエ! 前半に29出したなら、後半も29で上がってこいよ!」。
今年の開幕戦から、ひょんなことで、この“後輩”の面倒をみることになった高橋の “鹿田評”は、「ゴルフのセンスはとてもいいのに、“常識人”すぎるところがある 」というもの。
「良い子すぎてね、頭でっかちなんですよ。だからね、昨日のバック9もどうせ自分 の中 でブレーキをかけて伸び悩んだんだろう、と。『もっとおまえ“シカ”なんだから動 物的に貪欲にやってこい』ってハッパかけてやったんです(笑)」(高橋)。
師匠の励ましは胸に響いたが、いかんせん鹿田はまだ、ツアー出場11試合目という選 手だ。
「今日はスタートからドキドキしてしまって・・・。70台でも回れずに予選落ちする か もしれない、と心配になったほどだったんですよ。それが、何ででしょうね。終わっ てみた ら今日もいっぱいバーディが取れてましたよ」。
10番パー5はあわやアルバトロス。スプーンで打った残り225ヤードの第2打は、カップをかすめてピンそば50センチ。このイーグルを含む68は通算11アンダー、3位と好 位置での決勝ラウンド進出に、しばらく放心状態の鹿田だった。
この日2日目は、縁起を担いだ。18年ぶりの優勝にむけ爆走を続ける阪神タイガー ス。先週、大阪空港で買ったオリジナルタオルをバッグに入れた。ウェアは黒のス ラックスに黄色のポロシャツ。タイガースカラーに身を包んで、ティオフしたのだ。
吹き出す汗は、デカデカと虎マークの入ったタオルで拭いながらのラウンド(=写真)に、「今年からのにわ かファン」という鹿田にはこのタイガース効果は絶大だった。
決勝ラウンドでの最終組は初めての経験だ。「ゴルフ雑誌によく出ているような、有名なシード選手と回るのは、いつもとても緊張するんです」。
ツアーでの自己アンダーも、この日マークした11がこれまでの最高で「それ以上は、僕にとって未知の世 界。いったい、この先はどうなることやら・・・」と、戸惑いを隠せない鹿田だった。

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