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マンダムルシードよみうりオープンゴルフトーナメント 2003

『尾崎家は、勝負に血を騒がせなくちゃ』2位タイの尾崎直道は、最終日最終組で兄・ジャンボと直接対決

歯を食いしばって挑戦を続けてきた米ツアーから、撤退して2年目。最近、どこか張り合いをなくしている自分を、感じずにはいられなかった。
「いつからか、良いスコアが出なくても、悔しくなくなっていた」。ゴルフをしているよりも、家族サービスをしているほうが居心地が良いと思うことが増えた。また、今大会は濃霧と台風接近で初日が中止となり、最終日に36ホール回って72ホール競技を成立させる案も出ていたが、結局、54ホールに短縮された。その決定に、思わず安堵のため息をついている自分がいた。
「このコースで1日36ホールなら、もう諦めないといけないって思っていたから、3日間54ホールでほんとうに良かった・・・。だけどなんかそれって情けないよね。それならもう、シニアに行けって感じだね・・・」。
そんな自分自身に向かって、自嘲気味に吐き捨てた。
「尾崎家は、そんなんじゃダメでしょう。何がなんでも、勝負に血を騒がせるようじゃなくちゃ!」
この日3日目はそんな不甲斐ない日々を返上するゴルフだ。
9番で、1メートルのバーディチャンスを決めると、ハーフターンから怒涛の6連続バーディでバック9は29をマーク。
全身、したたる汗を拭うことも忘れ、ホールアウト後は興奮気味。
「6連続バーディも、29も、そんなスコアなかなか出すタイプじゃないから、自分でもビックリして・・・今日のラウンドはほんとうに、あっという間の出来事でした」。
1打差単独首位にたった兄・ジャンボ。「見習わないといけない。もっとガムシャラに・・・」最終日、最終組での直接対決では、兄とのデッドヒートの中でぜひ、忘れかけていたものを取り戻したい。「上昇のきっかけは、自分自身で作り出すものだからね」と直道。
日本ツアー復帰を決めた2001年、こんな抱負を語っている。「もういちど、“尾崎直道”の時代を築きたい」。この大会で、そのきっかけをつかめるか。

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