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「今は涙ばかりで、何も考えられない…」(チャンピオン・平石武則)

 同年代の加瀬秀樹が、1ホール目にボギーで脱落し、4ホールを戦った29歳の桧垣繁正がボギーに終わり、ピン右2メートルのバーディパットを沈めてプレーオフに決着をつけると、パターを持ったまま両手を突き上げた平石の表情は、みるみるゆがんでいった。

 帽子を取って大観衆に深々と頭を下げてから、再びかぶり直した帽子を、今度は目深にずらして隠した頬には、大粒の涙が伝っていた。
 41歳が、泣いていた。

 カメラマンたちが、その表情を収めようと、駆け寄って来た。
 泣き顔を隠そうと、タオルで懸命に押さえるが、溢れる涙は止まらない。
 インタビュアーにコメントを求められ、長い沈黙が続いた。
 「涙ばっかりで、何も考えられません…」

 ツアー19年目。
 「いつかはシード入り、そしてツアー1勝を」と頑張ってきたが、遠い道のりに、くじけそうになったことが何度もあった。
 「それでも、日々の練習、トレーニングだけは、欠かしたことがなかったんです」と訴えた。
 現在のファイナルQTに変わる前の月例大会、予選会…。ツアーの出場権を求め、奔走した苦しい日々が、激戦を戦い終えた平石の脳裏に駆け巡っていた。
 「再来週のサントリーオープンも出場権がなく、マンデートーナメントから挑戦するはずだったんです…そんな自分がまさか…」最後のほうは声にならない平石に、満員のギャラリースタンドから「感動を、ありがとう!!」との声援がとんでいた。

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