Round48:00 霜の為、スタート時刻を20分遅延(8:30→8:50)
Tournament article
リシャール・ミル チャリティトーナメント 2025
大会として総額1800万円余を寄贈。石川遼は能登で“プライスレス”な出会いも
能登カントリークラブで行われた2025年の新規大会「リシャール・ミル チャリティトーナメント」が無事、閉幕した。
能登半島地震や豪雨災害の復興支援とジュニア育成のための本大会では、石川県に選手会から賞金総額1億円の5%に当たる500万円と、リシャールミルジャパン財団から募金などで集まった305万6472円が。
また「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」と、同法人「カタリバ」に、リシャールミルジャパン財団から、それぞれ500万円が贈られた。
大会の期間中には、お金には代えられない出会いもあった。
石川遼(いしかわ・りょう)が、ポケットマネーの1万円を握りしめ、会場に出店中の「輪島の朝市」を訪れたのは、大会初日のプレー後。
一軒一軒をすべて見て回り、品物をひとつひとつ手に取り、みなさんと会話を交わしながらお買い物を始めると、あっという間にお金がなくなり、慌ててもう1万円追加。
「まだいっぱいお店があるのに。全然足りないな」と、楽しそうだった。

石川の来店を、涙ながらに迎えた人がいた。
漆塗り工房「喜三漆芸工房」の喜三悦子(きそ・えつこ)さん。
お孫さんの翼音(はのん)さんを、昨年9月の豪雨災害で亡くされた。
享年14歳。
店頭に飾られた遺影に気づいた石川が、悦子さんのお話に静かに耳を傾けながら、青と緑のお箸の購入を即決したとき、悦子さんの頬にはついに大粒の涙が溢れた。
「いつもお父さんとテレビでゴルフを見て応援してるんです。そんな方にうちの商品を手に取っていただいた。信じられないくらい嬉しくて…」と、感泣された。
翼音さんの父・鷹也さんによると、「おじいちゃん、おばあちゃん子だった」という翼音さんは、漆塗りの伝統工芸士で祖父の誠志さんが営む輪島朝市の工房をよく手伝い、いつも優しい気遣いを見せたそうだ。
昨元日の地震では一部損壊にとどまり、リフォームしたばかりだった母屋を、9月の豪雨が襲った。
家も、仕事も、大切な娘さんまで失って、なかば仕方もなく家業を手伝うことになった鷹也さんだったが、「翼音も望んでいたことだったかもしれない」。
誠志さんのあとを継ぐ決意を固め、漆塗りの勉強も始めておられるそうだ。
JGTOでは、インスタグラムで石川のお買い物風景を公開した。
「さっそく動画を見て石川さんが買ったお箸を買いにきてくださった方がたくさんいらして…」。
残り僅かになった青と緑のお箸の陳列棚を見ながら微笑んだ鷹也さん。
ご両親は、また輪島にとの思いがあるそうだが、鷹也さんは「戻るつもりはない。未練もない」と、言った。
「家もないのにローンを払い続けている今の状況では、さすがに厳しい」と、まだ一向に先は見えてこないが、「こういう形で輪島のことを知ってくださって、支えてくださる方もいる。本当にありがたいです」(鷹也さん)。
大会を22位タイで戦い終えた石川は、「ツアーの一員としてこの地に来て自分たちのプレーを見に来てもらえたり、ギャラリーの方が来てくれることで少しでも支えになるのであれば、その一員になれて、ありがたいなと思います」と、総括した。
お金を寄付する以上に実際に足を運んで、見て歩いて、人々と交流することでしか見えてこない現実と、一縷の希望がそこにあった。
















