Round48:00 霜の為、スタート時刻を20分遅延(8:30→8:50)
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Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 2025
悪夢から目が覚めた。妻も仲間も涙した。小斉平優和の雪辱V
小斉平優和(こさいひら・ゆうわ)が因縁の芥屋(けや)でプロ10年目の初優勝を達成した。
後続に2打差をつけてプレーを終えたが「あんまり何も覚えていない」と、ふらふらとスコア提出所を出たところで、仲良しの後輩、平田憲聖(ひらた・けんせい)が“V宣告”。
「優和(ゆうわ)くんが勝ったよ!」。
それを合図に誰かがバケツでお水をかけた。
昨年の悪夢からも目が覚めた。
勝って愛娘を抱っこするのが夢だった。
パパの“高い高~い”に1歳8か月の和暖(よりは)ちゃんも大喜びした。
「こんなに思い通りにいくとは思わなかった。ここで優勝するイメージがあったので、その通りになって嬉しいです」。
描いたとおりのリベンジで、真夏の芥屋を沸騰させた。

昨年大会は、香妻と臨んだ18番のプレーオフで2ホール目にOB3発を叩いて敗退。
当人は「すぐに切り替えられた」と話すが、しばらく周囲はハレ物扱い。
妻の美月さんには「もっとイジってくれてもいいのに」と、笑っていたそうだ。
過去を引きずるより小斉平が今季、固く誓ったのが芥屋でのリベンジ。
「ここで優勝したい」。
そのために、直前までメンタル本を読みあさり、18番の攻略を持ち球のドローからフェードボールに変え、因縁ホールのティショットはフェアウェイど真ん中。
後続のスコアがわからず、「バーディが欲しかった」という2オン狙いの2打目は、バンカーあごで目玉になったが、出して4オン1パット。

3メートルのパーセーブで「体が勝手に動いてました」と、ガッツポーズも出た。
昨季賞金王の金谷拓実(かなや・たくみ)や、現在賞金1位の生源寺龍憲(しょうげんじ・たつのり)らと同じ98年生まれの27歳。
「同学年は素晴らしい選手ばかり。下の選手も勢いがあり、負けられないなと思って頑張ってきました」。
プロ10年目の初Vで、生涯獲得賞金はようやく1億円に届いた。
3歳からゴルフをはじめ、ジュニア期からすでに地元大阪・高槻市で名の知れた存在だった。
高校3年でプロ転向し「2、3年で優勝できると甘い考えでいた」と、特に思い知ったのが、せっかく手にした賞金シードをわずか1年で落としてしまった22年だった。
「どうにもならないくらい落ち込んで、立ち直るのにすごく時間がかかった」という。
ドン底を支えたのが3年前に結婚した美月さんで、23年に和暖ちゃんが生まれてからは「凄く逞しくなりました」と、妻にも目に見えて夫は変わった。
昨年大会では18番で3発OBの悲劇はあったが賞金シードに返り咲き、1年越しの今週は「一緒に行こう」と美月さんを誘い、今季開幕から「リベンジしたくてたまらない」と、心を燃やし続けて有言実行の雪辱V。

妻が泣き、仲間も泣いた。
ジュニア期から一緒に頑張ってきた4つ下の親友、金子駆大(かねこ・こうた)は「自分のことみたいに嬉しい」と、言って目を赤くした。
「最終ホールでみんなが喜んでくれる姿を想像して、自分も泣く、と思っていたけれど。泣かなくてびっくりした」と、本人は笑った。
「スピーチも考えていました」と明かしたが、いざ緊張で飛んでしまった。
仲良しの平田によると、小斉平は「自分が話すよりは、いつも一歩引いて僕らの話を聞いてくれるタイプ」という。
でも愛娘の和暖ちゃんの前では、音楽に合わせて歌ったり、踊ったりしてみせるひょうきんパパ。

「外では恥ずかしがり屋さんなので、みなさん見たらびっくりされると思います」と、妻の美月さん。
「来年3月には二児のパパになります」。
「家族がいるから頑張れる」と、本人も認めた。
さらなる溺愛と共に、いっそうの活躍が予測される。
















