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関西オープンゴルフ選手権競技 2023

67歳の倉本昌弘が10年ぶりの決勝進出を史上2番目の年長記録で確実に

伝統の88回大会で、ツアー通算30勝の永久シード選手が偉業を確実なものとした。

倉本昌弘(くらもと・まさひろ)が通算2アンダーで、67歳217日での予選通過を達成。



データ魔の頭脳派は、もちろんあらかじめ把握していた。

現在の最年長記録は、68歳311日の故・杉原輝雄氏。
「つるやオープン(2006年)でしょう?」と頷き、「知っています」。

でも、やはりつるやオープン(2013年)に、ジャンボ尾崎が達成した66歳と92日は更新。

2013年のカシオワールドオープン以来となる予選通過は、史上2番目の年長記録となった。


3月に、8年つとめた日本プロゴルフ協会の会長職を退いた昨季、レギュラーツアーに5試合出場したが、すべて予選敗退していた。

「去年まで長く離れていて慣れてなかったけど、今なら出来る」と、ひそかな手応えがあった。
「今年は、やっとゴルフ漬けの時間が取れた」と今オフは自分のためだけに過ごせたことで、本来の技や経験がよみがえった。


もちろん、レギュラーツアーのコースは主戦場のシニアのようには行かない。
「自分に向いていないのは間違いない」。

ほぼフル参戦していた10年前より飛ぶ子もぐんと増えて、ショットで常において行かれるのも覚悟の上。

それでも、泉ヶ丘カントリークラブの硬くて速くうねるグリーンにこそ「チャンスがある」と、難セッティングにいぶし銀の活路を見出し、出場を決意。


生涯にわたる出場権利を保持しており、何も遠慮は要らないはずだが、「若い子が出られる資格をひと枠使うわけですから。予選も通らないのにやり続けるのは違うと思っている。今年が最後」と、覚悟をしてきた。


482ヤードと距離がある1番パー4などは、当たり前のように2打では届かない。

「フェアウェイに置いて、スプーンで手前エッジまで飛ばしてアプローチで1パット。無理してチャンスを作らない。自分の距離では止まらない。尾根の上のピンなら反対側にというように、マネジメントが上手くいった」と、初日のイーブンパーに続いて、この日もじっと堪えてボギーなし。


倉本のスコアカード


1.5メートルを決めた後半14番に続いて、17番で2メートル弱のチャンスを沈めて通算2アンダーで予選通過を確信。

同組のハン・リーから「パーフェクト!」と声をかけられ、軽やかにガッツポーズを握った。


「通らないのに・・・と言われたくなかったし、予選通過をモチベーションに来たので、通れてほっとしています」と、安堵した。

「それはなかなか・・・」と苦笑しながら謙遜したが、年齢より少ないスコアで上がるエージシュートにもあと2打と迫った。


「きょうはほかにも2つほどチャンスがありました」と、若い頃にポパイのニックネームを欲しいままにしたタフマンが、10年ぶりに挑む決勝ラウンドにむけて大きな夢と希望を残した。


ホールアウト後、シニア仲間が解説をつとめる生中継ブースに呼ばれて。髙橋や細川(左から)から祝福を受けました

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