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ANAオープンゴルフトーナメント 2021

3度目の正直に挑む。大槻智春が熟考するアベック優勝問題

考え中©JGTOimages
昨年に比べて、明らかに痩せたが「本当に気まぐれに始めたことなんで」。
今年から挑戦しているダイエットに特に、意味はない。
何キロ減量できたかもわからない。
「体重計にも乗ってない。ストレスがたまるので」。
測れば、数字に一喜一憂してしまう。
「体重を意識しながら、飯を食わなきゃいけなくなるじゃないですか」。
せめてストレスフリーな生活を送るためのささやかな対策だが、肝心のゴルフにおいては、そう単純にはいかない。

「去年くらいから、これだけ勝てそうで勝てない試合が続くと……やっぱり、たまりますよね」。
19年シーズン以来のツアー2勝目を狙う大槻智春は、ある日ポツリとつぶやいた。

この日、3日目は怒涛のサタデーチャージ。
ボギーなしの「64」は完璧にも思えるが、「勝つためには多分、満足していいゴルフではないのだと思います」との言葉に悩みの深さが見えた。

通算15アンダーの単独首位は、2位と2打差をつけたが、最終日を思うと何も安心材料にならない。

共に最終日を首位で出ながら敗れた昨年11月の「ダンロップフェニックス」や、今年5月の「ゴルフパートナー PRO AM トーナメント」のほかにも、昨12月の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」や、直近なら「Sansan KBCオーガスタ」や先々週の「フジサンケイクラシック」など、惜しい試合はいくつもあった。

「勝つためには、もしかしたら何か変えなくてはいけないのかもしれないけれど。そのために、歯車が変わってしまうかもしれない」と、もどかしい。

今週の起用は見合わせたが今年から、試合によって、46.75インチの長尺ドライバーを使っているのは、目先の勝利のためというより、将来の海外ツアーを見据えてのこと。

「行ってから飛距離を追い求めるよりも、いまからいろいろ考えてやっていったほうがいい方向にいくのでは、と。実際にキャリーで、15〜20ヤードは変わります。1インチでも、だいぶ変わるが、さらに2インチ変わるとタイミングはかなり難しくなる」と、試行錯誤を重ねるが、その効果もあってかこの日、一緒に回った木下稜介が、「大槻さんがすごく飛ぶようになって驚いた」と、言っていた。

「でも、基本スイングは何も変えていないんです。いま、続けていることをやって勝てるのが、一番なのかもしれない、とも思っていて…」。

黙々と逡巡しながら、ひたすら忍の一字で好機を待つ。

この日は午後からの悪天候を見越して予定より、競技の開始時間を早めたため、13時半すぎにはプレーが終わった。
いったん、コースを引き上げる直前に、同時開催の「日本シニアオープン」の成績を検索してみたところ、その時点で「谷口(徹)さんが2打差の2位につけてます」。
初シードの翌年から恒例の宮崎合宿に誘ってもらうようになった恩人だ。
「アベック優勝したいな…と思いますけど俺です、問題は。谷口さんは勝てますもん、普通に。明日ですね、ほんと俺は」と、今シーズン3回目となる翌日の最終日最終組に思いを馳せた。

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