5メートルのバーディトライを決め損ねた18番。グリーン脇の巨大なリーダーボードをチラ見して、静かに首を振った。
「行っちゃいましたね」と、苦笑いをした。
「勇太さんが、伸ばしてますけど楽なゴルフはさせない」と、最後は強気に言った。

「一発のＯＢで流れが変わった」という3日目。右に曲げた7番の白杭は、もう10センチほど左に落ちれば助かっていた。
「ただの自分のミスショットだが、運も悪い」と、悔やんだ。「運が悪くても、この位置で回れているので実力はついてきた」と、すぐに前を向いた。

見上げる池田は2015年のこの大会で、一騎打ちの末に破った因縁の相手だ。5打差をつけられても「1日6アンダー出して上が崩れたら、追いつける」と、言い切った。
「6アンダーと言わずに、明日は8アンダー出したい」と、とどまらない上方修正で狙うは2度目の称号。
「上とどれだけ詰められるか勝負だし、前半からガンガン攻めてプレッシャーをかけたい」。
きっと最終日には応援に駆けつける妻にも最後まで、諦めない姿を見せる。

• 小平 智