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アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ ダイヤモンドカップゴルフ 2017

片岡大育がツアー通算3勝目でまた涙・・・

ツアー通算3勝目もまた泣いてしまった。「泣くつもりなんか、なかったんですけど」と、ちょうど1年前に2勝目を挙げたトップ杯東海クラシックと同じ言い訳を、今回もした。「泣き虫なんで・・・スイマセン」と涙声で謝った。

大激闘を制した苦しさと、嬉しさ。ここにたどり着くまでの苦しかった道のり。最後のパーパットを沈めてやっと、極度の緊張から解放された。
「僕、性格が良くないんで。スイマセン」と、涙声でまた詫びた。いつもニコニコ大ちゃんも、しんどいときは誰でも同じだ。
懺悔の告白。
「調子が悪いときは、僕すごく引きこもりになるので」。
特に、ここ3ヶ月は不振を極めて、思うような結果が出せずに「みなさんLINEとか、電話をくれるんですけど無視してしまったり、ホテル帰っても、自分のペースでやりたいとか、ほんとにヤなやつなんですけど」。でもだからこそ、それでも応援してくださるたくさんの方々に、感謝は尽きない。
「みなさんのサポートがあって、優勝することが出来ました」とまた涙がこぼれた。

今週は、3ヶ月ぶりに会場で青山充コーチの指導を受けたことで覚醒出来た。
最終日はまれに見る大混戦を制した。
前半、タイのサクサンシンに4打差をつけられ一度は諦めたがサクサンシンが、9番で2打目のOBでトリプルボギーを打って状況は一変した。

いっきにもつれにもつれて、熾烈なV争いになったが会場のカレドニアン・ゴルフクラブは、プロ転向後の数年間を、青山コーチとオフ合宿で過ごしたコースでもある。
うねるグリーンは「10ヤードでもずれると、簡単にボギーを打つ恐ろしさがある」。その分、理想の攻略ルートも知り尽くしている。
「グリーンの形状も、しっかりと頭に入っていた」。4日間ともシビアなピン位置でも「どこに落とせばいいか、分かっている」と難ホールが続くサンデーバックナインこそ地の利のみせどころだった。

難易度1位の15番は、なんとかグリーンに乗せても、30ヤード以上もある長い長いバーディトライ。「パターで打つと、スライス傾斜でグリーンの外まで出てしまう」とグリーン上で、58度のウェッジを握った。それでも残った4メートルのパーパットは執念でねじ込んだ。
いよいよ首位を捕らえた。16番では5メートルのチャンスを逃さず1打差で抜け出した。
迎えた17番パー3ではついに勝負を決した1打。3番のユーティリティで打った。
「ツアーの速いグリーンにも高い球で落とせるように」とプロ入り2年目から投入し、練習を重ねてもっとも自信をつけたクラブでピンの根元に落としてみせた。連続バーディで、2打差をつけて逃げ切った。

日亜共同主管の大会で勝って「嬉し過ぎて、何も言えない」と、大泣きした。
香川西高校を出てからプロ入りしてすぐの頃、日本に居場所がなかった片岡が、真っ先に目を向けたのがアジアンツアーだった。
「QTから挑戦して、先にシード権を獲ったのもアジアンツアーでした。あの期間があったから100%今の僕がある。僕を成長させてくれたのは間違いない」とプロ人生の原風景を残すツアーに今度は勝って帰れる。
「それが嬉しいですね」。
アジアには欧州ツアーとの共催も多く、海外志向の強い28歳にはそれもまた嬉しく「これを機に、世界で活躍したいと思います」と、涙目のまま凜々しく言った。

ツアー通算3勝目もまた、最後は18番グリーンで腹を抱えて笑った。
無二の相方との笑劇場。
伊能恵子さんは「僕より有名なキャディさん」。
奇しくも04年と07年大会を制した平塚哲二のバッグも担いだ“ダイヤモンドレディ”はちょうどこの週に、オンエアされたばかりのバラエティ番組にも出演して、さらにプロより知名度を上げたかも?!
「伊能さんの存在感に負けないようにと頑張りました」と、2勝目につづいて3勝目もまた、伊能キャディによるご褒美の“姫抱っこ”。頼もしいその腕に、抱え上げられた時にはすっかり涙も乾いていた大ちゃん。
「たまには私を抱っこしてよ」との伊能さんのつぶやきが、聞こえていたかどうか。

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