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東建ホームメイトカップ 2017

星野陸也が5アンダー

今年の国内開幕戦を目前に、ほかの選手たちに、いまもっとも気になる若手について質問したら、必ずこの名前が出てきた。前日はインタビューの依頼が集中し、朝刊の紙面にも飾ったこの日、リーダーボードにも名を載せた。
「星野陸也」。
兄貴分の石川遼も“リッキー”と呼んで可愛がっている。ジャパンゴルフツアーの開幕に先駆けて、先週はチャレンジトーナメントの開幕戦「Novil Cup」でプロ初Vを飾ってますます注目を集めた弱冠20歳の新星が、周囲の期待に応える好発進だ。

「最初の3ホールは緊張していた」と照れ笑いで「スクワットのしすぎかな? 下半身が震えていて…。バランスが崩れた」と、スタートの10番のティショットでよろめいた。「最初はクラブが開いて当たって、引っかけた」と、左に曲げたがそれも「ラウンドして慣れてきた」と、すぐに立て直して12番から連続バーディを奪った。

17番では計測中のドライビングディスタンスで323ヤードを記録するなど「1打目、2打目とも完璧なショットが打てた」と、フェアウェイからピンまで187ヤードのフォローを「8番アイアンで、マン振りして、2メートルにつけた」と、スライスラインのイーグルチャンスも難なく決めた。

同組の亀代も、ミャンマー覇者のシノットも、「噂どおりの飛ばし屋。さすがだな」と、後半の8番ではティショットでシノットに、30ヤードも遅れを取ったが、言うほど気にしちゃいない。
「力が入らないように心がけた」とマイペースの66は「予想以上にいいスコア。上出来の90点。今日1日でも、期待に応えることは出来たかな?」。
昨年のファイナル1位が2017年の国内初戦で、世間を裏切らない上々の滑り出しだ。

「調子に乗りやすい性格」とは本人談。一時期ハマったコーヒー牛乳を栄養分(?)に成長すくすくと、中2ですでに180センチを越えていた。長身で、なまじ飛距離が出るだけに「調子に乗らないように」と、スタート前に自ら「メンタルをいじる」という。

プレッシャーをかける目的で、回る前から「自分はすでに、オーバーパーを打っている」と仮定する。
コースや天候状況を見ながら、この日は2オーバーから出ると想定して、まずは「今週3つあるパー5で2つ取って、イーブンまで戻す」とそうやって、ノルマをひとつ達成するごとに、仮想スコアを調節していく。
若いながら、冷静沈着なマネジメントの秘訣があった。

今季数試合でコンビを組む予定の杉澤伸章キャディとの息もぴったり。最近、結婚して引退してしまった女優さんの話題で盛り上がるなど、後半から風が出てきたコースでたびたび笑顔もこぼれる、ツアーで自身初の首位発進。
「この流れでもっと上を目指して頑張ります」。
初出場の国内開幕戦で、新星の名を欲しいままにする。

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