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中日クラウンズ 2014

石川遼は5位タイに終わる

勝負の分かれ目は、早い段階でやってきた。7番パー3だ。9番アイアンのティショットで風の強さを読み違えた石川は、奥のバンカーに打ち込んだ。

同じ最終組で、一部始終を見ていた金は8番アイアンを握って「ゆったりと振った」と、風を読み切りあわやホールインワンのピンそばにつけるのだ。

「もっと右に打っていかないと、という参考材料をヒョンソンにあげてしまった感じですね」と、石川は悔やんだ。
「自分がオナーで、流れがよくない中で、どっちが先にミスをするかという状況の中で、ほんのちょっとだと思った風が、実はかなり吹いていて。左に止まってくれると思ったのが、完全に自分の視界から消えてしまって。ミスジャッジ」。

深いバンカーの砂質は、「思ったよりスピンがかからず、ほどけてしまう」と初日からやりにくさを感じていた。懸念を抱えたまま、その不安が大事な日にもろに出てしまった。1打で脱出できず、3オン2パットのダブルボギーを打ってしまうのだ。

それでなくとも、この日はスタートからパーオンに失敗して、長いパーパットを強いられるなど、なかなか流れが掴めずにいる中ではなおさら、「あそこで追い込まれたと思った」と、石川にはその痛手が大きかった。
パーでしのいでガッツポーズを握った8番や、12番ではティショットを左に大きく曲げながらも仮設のトイレと林の間を抜いて、大ピンチからバーディチャンスにつけるなど、随所に魅せ場を作りながらも、ことごとくそれらを掴みそこねた。

そのかたわらで、金にチップインや長いバーディトライをことごとく決められれば、差はいっそう開くばかりだ。「最後まで付け入る隙を与えなかったのが、ヒョンソンの強さ。僕よりずっと高いレベルでプレーしていた。今日は完全にヒョンソンの日でした」と、2010年を制したギネス男も完敗だった。

前週のつるやオープンと合わせて今回は、国内2戦をこなしてこれでまた、いったん主戦場に帰る。日本で目標の優勝には届かなかったが、「今回の優勝争いは、自分的には平均点か、それ以上のパフォーマンスが出来たと思う」と、和合での試行錯誤はアメリカに戻っても、必ず「生きる」と石川は確信して舞い戻る。
「体調には気をつけながら、次は本当にアメリカで優勝を目指すだけです」。力強く言い残して、再び旅立った。

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