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とおとうみ浜松オープン 2012

遅刻寸前の岩田寛が思いがけない好発進に「イライラって、どれだけダメか」

最後の18番パー5で短いパットを決め損ねてパーに終わっても、この人には珍しく怒らなかった。「今朝は、プロとしてやっちゃいけないことをやったので」。バチが当たった。そう思えば、腹も立たない。

この日初日はコースに着いたのが、スタートのなんと20分前だった。
本来なら2時間前に着いて、ストレッチをして、1時間10分前には練習場で球を打ち、入念に準備をする岩田だ。

「今日は大寝坊をしました」。

トレーナーに電話で起こされたのが7時半。コースまで30分強の浜松市内のホテルを出た時点で、すでにスタートまで1時間を切っていた。ここグランディ浜名湖ゴルフクラブの駐車場は、車を駐めてから、さらに船で渡って来なくてはならない。

「自分で駐めてる時間なんかない」。クラブハウスの玄関でトレーナーに愛車を託し、慌ただしく靴を履き替え、帽子をかぶったのが15分前。「練習なんか出来ない」。

ウォーミングアップも出来ないままコースに出て痛感したのが、「イライラって、ゴルフにどれだけダメなのか」ということだった。
「いつもだったらミスして、イライラして崩れていくのがほとんど」。
練習日にも、キャディの宮崎鉱一さんと冗談で話していた。

「きっと、明日も1番で3メートルくらいのチャンスにはつくけれど。それを外してまたイライラするんだろうな」と、笑い合ったものだった。

確かに慌ただしくスタートするなり3メートルについたが、予言どおりもそこまでだった。
「これがたまたま入ってくれた」。
続く2番はOK距離についた。
9番では15メートルのイーグルパットが入った。
13番は左の木の向こうから、無理矢理グリーンを狙って池に入れたが、やっぱり岩田は怒らなかった。
「今までならイライラして、トリプルを打っていた」。
ドロップした5打目を2メートル半につけてボギーにとどめた。

「寝坊したのに、スコアが良かった」という現象は実は初めての経験ではないそうだ。「寝坊は今までにも何回か」。そのたびに「イライラはゴルフに良くないんだな」と、戒めてきた。
「でも寝坊も、良くないんですけど」。
反省しきりの大会初日だった。

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