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とおとうみ浜松オープン 2012

17歳の高校生、アマチュアの小西健太くんが3位タイ

ウッズ仕込みのパットが冴えた。トップスタートの初日は早朝7時のティオフ。晴天、無風は絶好のコンディションに、「僕は挑戦者。今日はひたすら伸ばすことだけ考えた」と、4番パー5では、190ヤードから6番アイアンで7メートルに乗せたイーグルトライが決まった。
上がりの18番では右から10メートルのバーディパットが計らずも入った。

強気のタッチは打った瞬間に「やばい、打ち過ぎた」と一瞬、慌てた。3パットも覚悟したストレートラインはカップに向かって一直線。「まっすぐそのまま入ってしまえ」との悲痛な叫びが現実になった。
「うまく入ってくれた」と思いがけないバーディフィニッシュには思わず、プロばりのガッツポーズを振り下ろしていた。

タイガー・ウッズとテレビマッチで3ホールのラウンド対決したのは一昨年。トップジュニアが夢のラウンドで得た収穫は「グリーンを読むときは、ラインよりスピードを重視すること」。

まさに6試合目のツアーで役立った。最終ホールは、ウッズの教えを忠実に再現しすぎて泡を食ったが、結果オーライの65は、プロの試合で自己ベスト。
来週の21日には18歳が、並み居るプロに混じって3位につけたのもさることながら、ボギーなしのラウンドはお見事だ。

「まだ、何が得意というわけではないけれど。逆に特に苦手なものもないのが一番の強み」との自己分析に、今季デビューはひとつ上の川村昌弘も認めるところだ。
アマチュア時代は共に海外遠征も幾度となくしてきたチームメイトは小西くんを、親しげに「コニケン」と呼んで、「特別何が、というのはないけれど。淡々と同じことを、18ホール続けられるところが凄さ」と、評した。

父・隆文さんが、子守がてらに練習場に連れていったことをきっかけに、3歳からゴルフを始めた小西くん。将来は「マスターズでの優勝」を夢見る広島・瀬戸内高校の3年生は、いま迷いのまっただ中にいる。

川村のほか、やはりナショナルチームのメンバーだった浅地洋佑ら先輩が高校卒業を機に、今年次々とプロデビューを果たしたばかりか、順調に結果を出している。特に川村の活躍には、「僕も出来るんじゃないか」と、身近な存在が、お手本にあるだけになおさら逡巡がある。

来年のプロ入りがちらつく反面、東北福祉大の松山英樹さんの例にも注目しないではいられない。
昨年は、マスターズで日本人として初のベストアマチュアを獲得するなど「松山さんも、あこがれの存在」。松山さんのように、大学に進んでまだ不安を感じているという体力面の強化を図るという手もある。
プロ転向か、アマ残留か。来週の月曜日から始まるという、中間テスト以上に悩ましい案件だがテスト勉強も返上で挑むこの4日間は、将来を決めるのにきっと一つの指針になる。
「順位は気にせず、このまま伸ばしていくことだけ考えたい」。
伸び盛りの高校生は、前だけを見ている。

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