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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2012

市原弘大が、ボーダー線上の戦いに敗れる

新しい顔が加わるということは、同時に弾き出される者がいるということ。勝負の世界の厳しい現実だ。特に、このシード選手たちにとっての“最終戦”で、あと一歩及ばずという選手の心中は、いかばかりのものか。

今年は、出場義務試合数に満たない賞金ランキング27位のルーク・ドナルドを除いた71位までの、上位70人がひとまずシード権を獲得出来る。

その次点にあたるランク72位に終わったのは、30歳の市原弘大(いちはらこうだい)だった。
今年も4日間ともに、ボーダー線上でめまぐるしく順位が動いた。
その渦中にいたのが、市原だった。

大会が始まる前の賞金ランキングも72位で、2009年にはアジアとの掛け持ちで、両ツアーの初シード入りを獲得した努力家も、今年は特に終盤は1打で予選落ち、という悔しい場面が続いた。
「今思えば、あの試合のあの1打かな、というのがいくつかあります」。

いよいよ迎えたこの自身の最終戦は、逆転でのシード権の確保を目指したが、ここでもまた、1打に泣いた。
最終18番は、1メートルのバーディチャンスが決まっていれば…。

会場では、自分の似顔絵を描いたオリジナルの缶バッジを配って歩く。いつも、ファンに優しく温厚な選手の顔には、もちろん、さすがに笑顔もなく「今は、めいっぱいやったから、疲れています」。

次週は、三重県の「COCOPA RESORT CLUB 白山ヴィレッジゴルフ コース」で29日から、6日間の日程で行われるファイナルQTで、来季ツアーの前半戦の出場権を取り戻しに行くのはもちろんなのだが、いきなりそれにむけて、気持ちを入れ替えて、という雰囲気にはまだなれないようだった。

「まずは少し、休んでからですね」。
無理に浮かべた笑顔にも、疲労と落胆が色濃く出ていた。

※今年、賞金ランキングによるシード権の保持に失敗した主な選手は
72位 市原弘大
73位 河野晃一郎(ツアー優勝による複数年シードは保持)
74位 河井博大(ツアー優勝による複数年シードは保持)
75位 諸藤将次(ツアー優勝による複数年シードは保持)
76位 S・J・パク
77位 J・B・パク(ツアー優勝による複数年シードは保持)
79位 谷昭範
81位 小泉洋人(特別保障制度適用者)
82位 冨山聡
83位 H・T・キム
84位 横田真一
85位 額賀辰徳
88位 増田伸洋
89位 鈴木亨
91位 C・プラポール
92位 立山光広
95位 星野英正(ツアー優勝による複数年シードは保持)
96位 河瀬賢史
101位 宮瀬博文
104位 J・M・シン(賞金ランクシード獲得のための出場義務試合数軽減者)
105位 丸山茂樹
108位 佐藤信人
113位 N・ベーシック
115位 P・シーハン
117位 津曲泰弦
126位 D・チャンド
159位 伊澤利光

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