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三井住友VISA太平洋マスターズ 2012

石川遼が「明日、一番怖いのは…」

最終日は石川と
パットの不振をショットで盛り返した1日だった。「今日はショットが支えた感じ。自分らしいプレーが出来た」。

ずっとパーでしのいで迎えた前半の6番だった。1メートルのバーディパットは、カップの右端をかすって行きすぎた。さらに短い返しはカップに蹴られて3パットのボギーを打った。

「ボギー先行は今週、初めてだったので。ずしっと来た。苦しい流れになっていた」。
9番で12メートルのバーディトライは、2メートルもスライスする下りのフック。これを沈めて久々に吠えた。2度、3度とガッツポーズを繰り出したのもつかの間、次の10番で、今度は2.5メートルのチャンスでまたもや3パットをした。

「でも、これで何もかも諦めちゃうのはもったい」と、気持ちを奮い立たせる発見があったのも、このホールだ。
10番のティショット。「ちょうど真正面に自分の影が来た」。
スイング中も、終始ボールに視線を置きながらも、同時に自分の影の動きに石川は目を奪われていた。
「トップが完了する前に体が沈み込んでしまっている!」。
今週、ずっと違和感を感じていた部分。「昨日も、一昨日も練習場で気をつけていたことでしたが、今日はラウンドしながら修正出来たことに、価値がある」。

次のセカンドショットで感触をつかむなり、バーディラッシュが始まった。
「11番でも良いティショットが出来た」と、イーブンパーにスコアを戻すと、12番ではピッチングウェッジを握った140ヤードの2打目が、ピンに絡みついた。
連続バーディで完全によみがえった。

18番では3打目を50センチにつける楽々のバーディ締めで、いよいよ単独首位に躍り出た。

この日は同学年のライバルにも刺激された。
連覇を狙う松山英樹さん。石川がスコアボードを見るたびに、どんどんと駆け上がってくる。
「いや、英樹が上がってこないほうが、凄い驚きです。絶対に来ると思っていた」。
予想通りの展開に、胸が躍った。
「僕らは丸山さんや片山さんが、日本人でもメジャーで勝てると思わせてくれた世代。僕らも頑張れば勝てると思っている。だから僕も英樹も、このコースが好きなのかもしれない」。
石川にとっては、2010年を制したここ御殿場は、メジャーにも匹敵すると思える舞台。
「英樹も、お互いに得意なコースでしょう」。
昨年、石川は大会2勝目こそ逃したが、17番で自身2度目のホールインワンを達成して、2人揃って表彰式に参加した。

今年は、そこに藤本佳則も加わって2打差の5位タイ。東北福祉大の先輩でもある藤本は「松山は力持ってる。このくらいのスコアは出すでしょう」と、言った。
石川も「英樹のことも、出来るだけ突き放しておかなければいけなかったのに。詰め寄られてしまった」と言ったように、松山さんは3打差の7位。
「英樹も、藤本さんもジュニアの頃から知っている。そういう選手とプロの舞台で優勝争い出来る。お互いに成長していると実感出来る」と、相手に不足はない。

松山さんは、「たとえ良いゴルフが出来ても、勝てなければ悔しい」と言った。
石川は、「とりあえず、明日は16アンダーを目指す」と言った。開幕前に、決めたノルマだ。「1日4アンダーずつ伸ばす」との決めごとは、少々予定が狂って「明日は5アンダーを出して、それで負けたらしょうがないと思うしかない」と、いったんは言葉を飲み込んだが、すぐに笑み崩れて「でも、その瞬間は、やっぱり悔しいと思うでしょうね」。
2年前の今大会以来となる、ツアー通算10勝目のチャンスは絶対に逃したくない。
「ひょっとしたら、明日一番怖いのは、英樹かもしれない」。ライバルの気配を背後に感じながらの最終ラウンドとなる。
  • 藤本
  • 松山さんの若い力の激突も見物・・・!!

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