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マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント 2012

連覇がかかる、河野晃一郎

“賞金王”とプレーオフ6ホールの激闘も、満開の笑顔で乗り切りツアー初優勝を飾った昨年覇者も、今年は少し、輝きを失っている。

今季、河野晃一郎は先週まで20試合で予選落ちすること12試合。7月のセガサミーカップは初日に86。10月のコカ・コーラ東海クラシックでは2日目に84を打つなど苦戦が続いている。

不振の要因は本人いわく、ずばり「勘違い」。
昨年の今大会ではその年末に賞金王に輝いた裵相文(ベサンムン)を倒したことが、むしろ仇に。

このオフには劇的勝利を機にさらにレベルアップを求めて、ミスの許容範囲が狭まった。
「自信が過信に変わってしまって。自分はもっと出来るはずだ、と。なんでこんなことも出来ないんだ、と」。
自分で自分を責めすぎて、「精神的に切れて、うまくプレーが続かなくなってしまった」。

その結果の不振続きに、いつしか周囲に「シンデレラ」とまで呼ばれる羽目に。

確かに、“シンデレラボーイ”には違いない。
昨年はそれほどの劇的Vも、まぐれと言われても仕方ない今年の惨状も、いまはやっと、そんな自分を認められるようになった。

「僕はそれほどの選手じゃない」と謙虚に、3週前から谷口徹に師事して「師匠」と仰ぐ。
先週も、何かとアドバイスをしてくれた袖ヶ浦で、師匠は最後にラフから入れる劇的なイーグルで、連覇の大会3勝目を達成して、松村道央ら弟子仲間と頭から水を浴びせる手荒い祝福に参加したばかりだ(写真右端が河野)。

谷口はその河野をして言う。
「あいつのは、ゴルフどころか、最初の“ゴ”の字の点々もない、“コ”ですよ」と相変わらず辛口の冗談で切り出しながらしかし、愛情こもった言い方でこういった。
「僕は、1勝しながら消えていく選手を今までにもたくさん見てきた。彼にはそうならないように、良いきっかけを作ってくれればそれでいい」。

谷口の助言はどれも「プロにしか分からない感覚的なことばかり」と河野は言うが、それでも先週は初日に6位タイで出るなど、確かに上昇気流の兆しが見える。

今年も兵庫県加東市のABCゴルフ倶楽部であの満開の笑顔が見られますように。先週の師匠に続けますように。
笑顔の貴公子、河野晃一郎の連覇がかかる。「マイナビABCチャンピオンシップ」は、10月25日・木曜日に開幕です。

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