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つるやオープンゴルフトーナメント 2011

今年はもう、ボヤかない?! 首位タイの久保谷健一

この日初日はインスタートの10番で、「1メートルについてくれたので、気持ち良いスタートが切れた」と、さらに11番で、左18ヤードのカラーからチップイン。連続バーディに「パットが決まると本当に気持ちがよい」と、ますますその気に。

ラッキーもあったという。もっとも顕著だったのは、2番パー3だ。ティショットを引っかけて、チャンスにはほど遠かった。「マウンドを3個も使った」という長く険しいバーディパットがカップに消えた。

久保谷命名の「土手キック」も、たくさん使った。「僕みたいに曲がる選手はラフが長いと苦労するけど、今年はそれほどでもないので曲げても転がって出てきてくれる。僕でも通用する」と、要は傾斜を蹴って、運良く戻ってきたホールもいくつかあったということらしい。

運も味方につけて、63のロケット発進。
上がり8番、9番も連続バーディでしっかり締めて、トップタイ。

ジャパンゴルフツアーはこのつるやオープンで2戦目を迎えたが、久保谷にとってはこれが初戦だ。昨年はQスクールから挑戦し、賞金ランクは44位につけて、シード入りを果たしたアジアンツアー。
今年は早々に海を渡り、先週もマレーシアオープンに参戦。真っ黒に日焼けして、いったん帰国した疲れも見せずに、このスコア。

「だけど、アジアと日本のツアーはまったく別物」と久保谷はいう。
開催地のインドやマレーシアなど、灼熱の国から帰国するなり、この日初日は早朝の冷え込み。もう4月というのにコースに霜が降りてスタートが30分遅れるなど、その気温差もさることながら、なんといってもアジアの芝目の強い、重いグリーンは、「日本のように、高く上げて寄せるアプローチでは無理」。

向こうでは、「手前から強気で転がしていくゴルフ」が求められるという。
「日本はどちらかというと、耐えるゴルフだけれど。アジアは攻めていかないと上にはいけない。ショットから、グリーンの速さから、何から違う」。

環境の違いの中で技術も、精神面でも、臨機応変に対応していけるゴルフが目下の目標。「そこにやりがいを感じるから」。
そういう意味でも飲み仲間で、すでにアジアンツアーで3勝の平塚哲二は良いお手本だ。
「彼は日本とアジア、両方のゴルフを身につけてる。見習いたい。今年もアジアでも、シード権を確保したい」。
39歳。いよいよ40歳を目前に控えた今年も勢力的に、日本を飛び出す構えだ。

若いころの「力でねじ伏せる」ようなゴルフに限界を感じているいまこそ、世界各国の舞台で経験を積み、ひとつでも引き出しを増やすことで「若い子たちに対抗したい」。
そんな計算も、この日のスコアを見る限り、上々の滑り出しといえる。

久保谷といえば、ネガティブ思考が一種のウリだった。たとえ首位に立っても、ぼやいてばかりいる。やはり飲み仲間だった矢野東が言ったことがある。「あの人はウソつきだから。今週は絶不調といいながら、蓋をあけてみたら1番上にいたりするから。信じちゃダメだよ」。

もっとも本人にしてみれば、「ぺったりとはいかなくてもせめて5,6メートルに乗っていれば満足なのに。僕はたまにとてつもないショットが出るから」というように、どれだけスコアが良くても内容が納得できないと・・・という葛藤を、いつも抱えているようだ。

「僕は欲深いからか、毎試合で悩んでる。その悩みを少しでも減らせば今年は良い発言も出てくると思います」と本人もその自覚もあるだけに、今年は名物(?)のボヤキ節も少しは減るかもしれない。

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