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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2011

最年少メジャーVがかかる、石川遼

プロ転向から4年目となる舞台で、成長した姿を見せる。石川が、キャディバッグからスプーンを抜いた。代わりに登用を決めた0番アイアンは、この日水曜日にアウトから9ホールの練習ラウンドで、パー3を除く全7ホールで使用してその感触を確かめた。

その上で本戦では4番、5番、8番、12番の4ホールのティショットで握ることを明らかにした。
15歳で史上最年少のツアー優勝を挙げてから、あれほどに絶大なこだわりを見せてきたドライバー。
しかし「ゴルフをやっていれば刻むときもある。そういう時期が訪れるのは、時間の問題だと思っていた」と、石川。

「以前は残り150ヤードのフェアウェイと、100ヤードのラフなら、ラフのほうが近くに寄るという気持ちがあった」。
しかし数々のメジャー舞台を経験するうちに、その考えに変化があった。痛感したことは「たとえ100ヤードのラフからでも寄らないセッティングがある」ということ。

今週のここ宍戸ヒルズカントリークラブもそのひとつで、「グリーンはオーガスタに似ている部分がある」。そのくせ、ラフの長いセッティングは全米オープンにも似て、「ラフからだとたとえ100ヤードでも、止まってくれない。寄ってくれない」。

たとえ距離が残っても、まずはフェアウェイキープを優先させる。「でも、アイアンの精度もないのに刻んでいたら、意味がないですよね」というように、スプーンでの刻みよりも、「0番のほうが操作性が高い」と判断したのは、ロングアイアンのコントロールに絶対の自信が出来てきたからこそだ。

先週のダイヤモンドカップでは、1年ぶりの予選落ちを喫し、週末はその原因ともなったパッティングの調整にも余念がなかった。
「モチベーションの上がり方は、今までにない」と言うその心はここ茨城県が、大震災の被災地でもあるということだ。

このツアープレーヤーNO.1決定戦は、浅見緑蔵氏が持つ19歳と281日のメジャー最年少V記録を20日更新するラストチャンスだが「そこには関心がない」と、石川は言う。
「興味があるのは、被災された方々。僕の戦いを見て、頑張って行こうと気持ちを切り替えていく人が、一人でも増えれば」。
緻密な戦略も、あの胸のすくような大胆なスイング、プレーはあいかわらず。19歳が、熱いプレーで被災地にメッセージを贈るつもりだ。

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