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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2011

グランドスラムがかかる、河井博大(かわいひろお)

5月の日本プロで“メジャー制覇”でのツアー初優勝を飾って以来、取り巻く環境ががらりと変わった。翌週の大会では予選ラウンドであの石川遼と組んだし、練習日には毎週のように、雑誌やテレビの取材で予定がぎっしり。

シード入りと落ちを繰り返していたころから思えば考えられないくらいに注目度も加速度的に上がった。5年シードの日本タイトルを手にしたことで、また別の意味での重圧がのしかかるが、そんな中でもあいかわらず好調は続いている。

涙の初優勝から、そのあと先週までの2試合で6位タイ、12位タイ。現在の賞金ランクは1位。
周囲には「勝ったことで吹っ切れたでしょう」とか「思い切りよくプレーが出来るようになったのでは」と口々に言われるが、「正直、勝つ前も今も、心構えはまったく同じ」と、本人は笑う。

しいてそれまでとの違いを挙げれば、「パットがあいかわらず入ってくれていること」。「鬼門」と自認しているグリーン上で、今季3試合目から初めて使い出したというマレット型の「白いパター」が奏功している。

その相乗効果でショットも安定しており、フェアウェイキープ率は現在6位。そのほかにもパーオン率、パーキープ率ともに4位など、それは数値にもしっかりと表れている。
今季のツアープレーヤーNO.1決定戦の舞台となる宍戸ヒルズカントリークラブは深いラフと絞られたフェアウェイに、待ち受けるグリーンはめっぽう速い。
「いつもドキドキしながらショットしている自分にとっては、どこがというわけではなく、全ホールが鍵になってくると思う」と、笑う。

「その中で、いかにビビらずにティショットが打てるか」。難条件でこそ、持ち前の正確なショットと好調のパットが生きてきそうだ。

今週は日本プロに続く、メジャー連勝記録がかかるばかりか、秋の日本オープンと今季最終戦の日本シリーズは、日本と名のつくタイトルの年間4冠制覇のいわゆる「グランドスラム」が狙える今年ただ一人の選手だ。

開幕前日の水曜日の練習ラウンドで一緒に回った原口鉄也に「いや、本人もその気満々ですよ」と言われて、大慌てで首を振る。
「めっそうもない!!」。
むしろ、「日本プロだって、たまたまそこで初優勝が出来たというだけで、そんな自信はまったくないです」と、無欲を強調したが今の勢いを見る限り、有力候補の一人といっていいだろう。

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