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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2011

石川遼はついに勝てず

勝つことの難しさを思い知る1年となった。2008年に、史上最年少のプロ転向を決意したときには、「すぐに勝てるとは思ってもいなかったし、シード権もまだまだ先になるだろう、と思っていた」。

折りに触れて、はたちにしてすでにツアー通算9勝など、想像もしていなかったと、石川は言ったものだ。
「自分でもうまく行きすぎるくらい、うまくいっていると思います」と。

しかし本人の予想にすら反して15歳にして、史上最年少Vを達成したあとも、そうして前人未踏の記録の数々を築いてきたという事実があればこそ、1勝も出来ないまま終わったシーズンに、納得など出来るはずもない。

いよいよ今年最後の1日も、ノルマの「4バーディ」を達成して、こだわりの部門別ランキングはバーディ率も、3年連続の1位を死守してもなお、勝てなかった。

今年は、2年連続のベテラン2人のV争いを最終組で目の当たりにするにつけても「優勝する上では、4バーディでは物足りない」と、痛感した。

前半は3番で6メートルのバーディチャンスを沈めて、谷口にど派手なガッツポーズを見せつけることは出来ても、後半は大事な場面でティショットが左右に散らばるなど、藤田と谷口の間に割って入るには、決定打に欠けていた。

せめてプレーオフに加わるにも3打も足りず、今年最後にこそその瞬間を見届けようと、駆けつけた1万6000人を超える大観衆にも、「優勝をお見せ出来なくて残念です」。

大会は3位に終わって、賞金ランクは3位にも、未勝利のまま終われば4年連続の1億円超えもかなうはずもなく、「やりきった感じはない。悔しいですけど、前を向いていくしかない」。
中止が決まった前日3日目も、誰よりも遅くまで練習場に居座った。雨の日も、風の日も、血のにじむような練習を積んできた。
それでも今年は勝てなかった。

今季は2位と3位が3回ずつで、5位2回、8位と10位がそれぞれ1回ずつ。今年、一度も勝てないまま賞金ランキングのトップ5に入った。また勝てないまま、トップ10に入った選手は、石川しかいない。
その年齢とキャリアを思えば、十分過ぎる戦績も、もはや周囲の期待も、本人すらも、それでは済まなくなっている。
「完璧がない世界。ないゆえに、自分次第で甘えることも、厳しくなることも出来ると思う。常にもっと出来るじゃないか、という気持ちを持っていなくてはいけません」。

一度も勝てずに終わった今シーズンは、石川自身がもっとも厳しい視線を自分に向けている。

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