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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2011

ツアー通算5勝目をあげた高山忠洋の「涙が止まらなかった」訳

ヒーローインタビューでどことなく目が腫れぼったかったのは、優勝の喜びの涙のせいではなく・・・
劇的イーグルのウィニングパットを沈めたあと、いったん18番を引き上げてから、再び大ギャラリーの待つ表彰式に舞い戻ってきたチャンピオンが、泣き腫らした目をしていたのは、勝利の喜びからではなかった。

グリーンサイドで大親友が待っていた。「おめでとう」と高山の手を握りしめた富田雅哉は、「俺は、1打足りなかった」と言った。

このカシオワールドオープンは優勝争いや、賞金レースと華やかな戦いのほかに、来季のシード権をかけた選手たちにとっては大事な最終戦だった。

今大会直前の富田の賞金ランキングは70位。今年は出場義務試合数に満たないスペインのゴンサロ・フェルナンデスカスタノ(カシオ終了時に69位)を省いた同71位までシード権が与えられることから、富田は最初から、まさに薄氷の戦いだったとはいえ、高山はまさか富田がシード落ちしたとは、すぐには信じられなかった。

今大会前には賞金ランキング74位の“圏外”だった冨山聡が4位タイにつけて逆転の初シード入りを果たし、また同72位の津曲泰弦が逆転のシード復活をしたことで、大会は34位に終わった富田が弾き出されたのだ。

富田の目に悔し涙の跡を見るなり、思わず高山も号泣していた。

和歌山県の星林高校・野球部からゴルフに転身するきっかけが、富田の師匠である田中秀道の初優勝だった。18番で泣き崩れた田中に感動して高山は、プロの道を目指した。また、そのとき田中のバッグを担いでいたのが、当時やはり高校生の富田だった。

そして、互いに岐阜県の研修会で偶然、一緒になった。不思議な縁でつながれた2人はいま、共にトレーナーの秀島正芳さんに師事する。普段から切磋琢磨の無二の親友の陥落には今季2勝目の喜びもつかの間、遠のいてしまった。スコア提出場で、2人は改めて人目をしのんで泣いた。

富田は次週12月1日から6日間の日程で、三重県の「COCOPA RESORT CLUB 白山ヴィレッジゴルフコース」で行われるファイナルQTで、来季の出場権をかけて挑むことになった。
「絶対に戻って来いよ」と高山は、涙ながらに訴えるので精一杯だった。

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