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TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Lake Wood 2010

武藤俊憲が「勇太を一生懸命追いかける」

この日3日目は早朝6時10分に前半9番のパーパットから、前日2日目の第2ラウンドの残り競技を再開。さらに第3ラウンドは1時間もスタートが遅れ、波乱続きの1日28ホールも、日頃の鍛錬の成果だ。
「まったく、疲れてません」と、言い切った。

小林宏平トレーナーの指導のもと、鍛え上げられた肉体は、時折大雨が降りしきる過酷な条件にもびくともしない。
第3ラウンドも4番で、残り176ヤードの第2打を、8番アイアンで2メートル半につけてイーグルを奪うなど、軽々と66をマークして、単独3位に浮上した。

課題のパッティングが絶好調だ。
先月は3週間、戦線離脱したことが、怪我の功名だった。
ダイヤモンドカップは最終日を9位タイで迎えながら、スタート30分前に、無念の棄権。

決勝ラウンドで、しかも、トップ10の選手がプレーを取りやめるなど、めったにあることではない。それほど状況は深刻だった。

朝、起きたら左親指の付け根が、パンパンに腫れ上がっていた。
「グローブも入らない」。
もちろん、クラブも握れない。
小林トレーナーと、ツアー専属の成瀬克弘トレーナーの渾身の治療を受けたが、あまりにも時間が足りない。
大事を取るべきと、2人の意見が一致した。本人にも異存はなかった。
すぐに地元・群馬の主治医に検査を受けて、「軟骨の石灰沈着」との診断が出た。
注射と、あとは1週間ひたすらアイシングの治療を続けた。

「再発の可能性はない」との診断も、そのあとさらに2週間の安静を取った。
ショット練習が出来ない分、パットに時間を費やした。

試合に出られないのは痛かったが、棄権した週の練習日に指導を受けた、パッティングコーチのデイブ・ストックトンのアドバイスをさらに、かみ砕くには十分な時間が持てた。
そのほか余った時間は、読書に費やした。
タイトルは、ずばり「望みをかなえる脳」。
脳神経外科医の林成之氏が語る、夢を実現するプロセスは、どれも納得することばかりだった。
「いきなり優勝、ではなく目の前のことを1つ1つこなし、積み上げていく。それがいかに大事かということが、書かれてあった」。
胸に深く刻んで、先週のミズノオープンよみうりクラシックから、満を持して復帰した。
その2週目に、さっそくV争い。
「これだけ充実してゴルフが出来ているのは、久しぶりです」。
リーダーと6打差で迎える最終日。ちょっと差は開いてしまったが、「勇太を一生懸命追いかけていく」。
近ごろちょっと、元気がないと言われる30代の名誉にかけて、今をときめく24歳も、簡単には勝たせない。

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